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【実態調査から見えた障害者支援施設】施設の現状と求められることをわかりやすく解説

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障害者支援施設は、障害者の方々が生活の場として利用する施設です。

国は障害がある方が望む生活のために地域移行を推進して、入所者数を減らす方針を示しています。

しかし、NHKの取材では入所を希望して待機している障害者が全国で少なくとも18,000人あまりに上がっているとされています。

この記事では障害者支援施設の現状や求められていることについて、障害者支援施設のあり方に関する実態調査の内容をもとにわかりやすくご紹介します。

1.障害者支援施設は、障害がある方の生活の場

障害者支援施設は障害がある方の生活の場となる施設です。

制度上は障害者支援施設という1つのサービスではなく、日中に行う支援(主に生活介護)と夜間に行う支援(施設入所支援)に分かれています。

それらのサービスを組み合わせて、障害者支援施設として24時間生活全般の支援を行っています。  

障害者支援施設(施設入所支援)は

18歳以上で障害支援区分4以上、もしくは50歳以上で障害支援区分3以上の方

が対象です。

2.障害者支援施設の現状

障害者支援施設のあり方に関する実態調査の結果からいくつか抜粋してご紹介いたします。


在所期間別所在者数

出典:障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)

施設に入所している期間です。

比較的特定の期間に偏らず分散しています。それでも20年以上入所している方は4割程度と長い入所期間も決して珍しくない事がわかります。


退所者の有無

出典:障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)

1年間の退所者の有無です。全体でみると8割の施設で退所者が0となっています。

僕が知っている障害福祉施設の現状を見ると、グループホームなどへ移行できる方はすでに移行を済ませており、施設で生活している方は手厚い支援が必要とされる方が多いです。

そのためグループホームでの支援では生活に不安があるため、地域移行も進みにくい現状があるかと思います。


高齢化による支援上の課題の状況

出典:障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)

全体の半分以上の施設で、「高齢化による支援上の課題」が重要な課題になっていると答えています。

やや重要となっているという答えを含めると8割以上の施設が当てはまります。

重度で行動障害等がある方がグループホームに移行できずに施設で生活している。
     
長い期間移行が進まないため高齢化が進む。
     
高齢化すると身体の衰えから医療面の課題などが出てくる。

調査結果からも上記のような流れが見えてきます。


強度行動障害への支援手順の取り決め状況

出典:障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)

強度行動障害がある方への支援手順の取り決め状況を見ると、支援手順が決まっていてスタッフで共有出来ている施設が半分以下。

それ以外の事業所は共有できていないか、支援手順が決まっていないとなっています。

強度行動障害がある方への支援には統一した支援が必要です。

人員の不足など施設内での支援にも多くの課題がありますが、支援手順の取り決め等は支援の質に直結するため、多くの施設で取り組んでいただきたいと思います。


地域移行に取り組めていない理由

出典:障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)

地域移行に取り組めていない理由を見ると、「地域でのグループホームなどが少ない」という理由の次に「施設の支援が一番適切であるため、地域移行は不要」という回答が多くなっています。

実際に施設以外で暮らすための社会資源は充足していると言えず、地域移行が難しい現状があります。

しかし施設の支援が一番適切と言い切れるだけの根拠が本当にあるのかは疑問です。

適切な意思決定支援を経て本人の意思を確認したのでしょうか?

どんな支援があれば施設以外で生活できるかを外部の期間も含め何度も検討したのでしょうか?

同じ支援者として上記に対して胸を張ってそう言い切れるケースはそれほどないと思います。

「重度だから施設しか生活の場の選択肢が無い。」という思い込みは危険です。


地位生活支援拠点として担っている役割

出典:障害者支援施設のあり方に関する実態調査(概要版)

地域生活支援拠点機能として担っている役割の最も多いのが、「緊急時の受け入れ・対応」です。

24時間専門的なスタッフが支援をしている施設は、何かあった時に対応出来る可能性を最も多く持つ福祉サービスの1つと言えます。

いざという時頼れる先があるか無いかで、在宅生活の安心感は大きく変わります。

障害者支援施設が在宅生活をする障害がある方と家族の安心となることを望みます。

3.障害者支援施設に求められる4つのポイント

今後の障害者支援施設に求められるものは多くありますが、ポイントを絞って4つご紹介させていただきます。

POINT① 入所者への支援の質の向上と地域移行

第一優先事項として入所している方への支援の質の向上が求められます。

施設特有の外部から見られにくい環境や人員不足から、虐待が起こる可能性も決して低くはありません。

在宅で生活が難しい行動障害がある方の支援の必要性もあり、施設として本人に合った支援を構築する仕組みは強く求められます。

そして多くの障害者は施設で生活したいと希望して入所してきたわけではありません。

施設入所以外の選択肢を広げ、本人が望む生活を実現するための支援を突き詰めることが必要です。

POINT② 緊急受け入れ

24時間専門的な支援が提供されている障害者支援施設は、在宅で生活されている方もサポートする役割が求められています。

それが在宅で生活する障害がある方に何かあった時に対応する「緊急受け入れ」です。

在宅での生活は限られた支援で成り立っていることが多く、保護者の体調が悪くなるなど少しのことで維持が難しくなることも珍しいことではありません。

いざという時に24時間スタッフが居る施設はとても頼りになる存在です。

地域生活支援拠点の仕組みやショートステイ等を活用しつつ、在宅で暮らす障害者とその家庭を支えるセーフティーネットとしての役割が求められています。 

POINT③ 専門的人材の育成

障害福祉サービスは、徐々に種類も量も増加しています。

それでも障害者支援施設が必要とされているのは、地域で安心して暮らせる体制がまだまだ整っていないからと言えます。

施設には在宅では生活困難な強度行動障害の状態にある方も少なからず入所しています。

そういった方々を支援している経験値やノウハウを地域の支援体制構築のために活かすことが求められています。

POINT④ 地域資源との連携

施設に入所している方の事だけを考えて支援すれば良かった時代もありましたが、現在はそうはいきません。

障害者が望む生活を実現するためには地域移行を進めなければいけません。

地域移行を進めるためには多くの関係機関との連携が不可欠です。

在宅で生活している障害者とその家族を支える役割もあります。

さらに重度・高齢化している現状において医療的ケアのための医療機関との連携や、介護保険施設との連携も必要です。

障害者支援施設は他のサービスと同様、地域における1つの社会資源です。

支援は1つの事業所では完結できません。多くの社会資源とつながり、役割分担をしながら協働することで施設の機能をより活かすことが出来ます。

まとめ

障害者支援施設に入所を希望する方は多くいますが、施設の現状はスタッフの人材不足や入所者の重度高齢化など多くの課題を抱えています。

そんな中で、専門的支援を活かして地域移行を進めて地域の人材育成も求められています。

さらに、社会資源の一つとしての連携も大きな役割の一つです。

障害がある方が自分の望む生活に近づけるよう多くの社会資源と協働して、施設の機能を活かすことが必要です。

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