地域の自立支援協議会に参加しているけど、他の地域はどうやっているんだろう?
自分たちの部会のやり方でいいのかな?
データから各地域にある自立支援協議会について知って、自分たちの協議会を見直してみましょう。
自立支援協議会は地域福祉に関する協議の場として市町村や都道府県に設置されています。
しかし参加していない方はもちろん、参加している方も自分たちの地域のこと以外なかなか知る機会は少ないかと思います。
この記事では厚労省の資料を基に、自立支援協議会の構成メンバーやどんな専門部会が設置されているかなどをデータでご紹介します。
さらに内容については僕なりに見解を加えて解説させていただきます。
自分たちの地域の自立支援協議会を考える参考にしていただければ幸いです。
自立支援協議会についてはこちら↓の記事で解説していますのでご覧ください。
1.地域(市町村)自立支援協議会
(1)設置状況・運営方法・構成メンバー 等
構成メンバーを見ると様々な関係機関が参加していることがわかります。
その中で教育関係機関は76%と比較的多く入っていることは大切なことだと思います。
こどもの支援はライフステージの変化が連続し、関わる機関も変化していきます。
だからこそ縦と横での密な連携が大切です。
福祉事業所や当事者団体だけでなく、こどもについては多くの関係機関を交えた検討が必要です。
個人的には発達障害者支援センターの参加が少ないことが気になります。
発達障害者支援センターは、都道府県や指定された法人等が運営している発達障害の方へ総合的な支援を目的とした専門的な機関です。
発達に障害がある方が安心した地域生活を送るために、福祉の専門機関である発達障害者支援センターが協議の場に参加して、地域のニーズを把握することや関係機関とのつながりを深くすることはとても大切なことかと思います。
皆さんの地域の自立支援協議会はどんな構成メンバーですか?
参加している方、していない方をデータと比べてみると気付くこともあるかもしれません。
(2)専門部会
専門部会は議論を深めるために設置される会です。
専門部会の種類はほとんどが、その地域の課題解決について具体的な議論をするために置かれています。
障がい別や地域別に検討するという部会の設置はごくわずかです。
課題ごとにおかれている専門部会で代表的なものは下記の4つです。
部会名 | 主なメンバー |
就労支援部会 | 就労事業所(A・B・移行)、ハローワーク、就業・生活支援センター 等 |
子ども関係部会 | 障害児通所事業所、行政(母子保健等)、教育関係(特別支援学校等)、保育関係、児童相談所 等 |
相談支援部会 | 基幹相談支援センター、委託相談、計画相談 等 |
地域生活・生活支援部会 | 福祉事業所(短期入所・居宅介護・生活介護等)、医療関係(病院、訪問介護等) 等 |
主なメンバーも併せて記載させていただきましたが、当事者・当事者団体は全ての部会に参加することも多いため記載は割愛しております。
また基幹相談や委託相談はその役割上、相談支援部会以外の多くの部会に参加することも多いかと思います。
これらの4つ部会は設置されている数が多く、どこの地域においても課題として取り組む必要がある内容を検討していると思います。
開催実績は相談支援関係部会が特に多くなっています。実績が多い理由としては連携が業務に大きく関わってくる役割であるということが考えられるかと思います。
僕が知っている中でもコロナウイルスの感染拡大によって、自立支援協議会の運営も地域ごとの差が大きくなっています。
工夫をしながら開催している地域もあれば、感染拡大で活動が完全に止まってしまっている地域もあります。
コロナウイルスがまん延している今だからこそ、困っている方がいて関係機関が連携しながら地域を考えていくことが必要です。
オンラインツールを使用するなど工夫をしながら開催出来るよう地域で検討しましょう。
2.都道府県自立支援協議会
(1)構成メンバー
都道府県の自立支援協議会も見てみましょう。
構成メンバーを見ると、市町村の自立支援協議会との違いもあります。
大学等(学識経験者)が市町村自立支援協議会の場合は28%、ところが都道府県自立支援協議会になると77%と大幅に増えています。
県の自立支援協議会では市町村単位の議題などを集約して、より幅広い都道府県として地域を考える位置づけになっています。
そのため、多くの知識や経験を持つ学識経験者の参加が増えていると思われます。
逆にハローワークや民生委員・児童委員など現場で対応している方が構成メンバーとしては減っています。
(2)専門部会
専門部会の設置状況を見てみると相談支援関係部会は市町村自立支援協議会と変わらず多く設置されています。
同程度設置されている人材養成関係部会は都道府県特有の部会と言えます。
市町村の自立支援協議会を主導する立場である、県の自立支援協議会は市町村で扱っている個別ケース等全てに対応することはできません。
都道府県という幅広いエリアをより良くすることを考えた時に、市町村を担う人材育成が重要になってきますが人口規模が少ない地域では人材育成は困難が予想されます。
そのため都道府県が主導して人材育成を行っていく必要もあります。
(3)協議項目・活性化に向けての工夫・運営の課題
都道府県自立支援協議会の協議項目は
「都道府県障害者支援計画についての協議」が最も多く、その他は市町村で抽出された課題や県の相談体制について等が多く見られます。
市町村や都道府県で作成される障害者福祉計画作成において、自立支援協議会が大きな役割を担っていることがわかります。
福祉計画についてはこちら↓で解説していますのでご覧ください。
自立支援協議会の運営に関する課題をみると
最も多いのは「市町村や市町村協議会との連携方法がわからない」という内容でした。
この結果から
個別ケースから地域を考える市町村が抱えている地域課題が都道府県にうまく上がっておらず、
都道府県という大きなエリアにむけた取り組みの検討につながっていない
という現状が見えます。
人口規模が大きく社会資源がたくさんある市町村であれば自ら考えて取り組めることも多いかと思いますが、そうではない市町村も多いため都道府県と連携が出来ていないことは大きな課題と思われます。
市町村と都道府県どちらの自立支援協議会においても、双方の連携は取り組むべき大きなテーマと言えます。
まとめ
厚労省の資料に掲載されているデータを基に自立支援協議会の現状をご紹介いたしました。
自立支援協議会は地域ごとの課題に対して地域の特色を生かした取り組みを協議する場ですので、地域に合った動きが求められます。
しかし、自分たちの地域を見るだけでは気付けないこともあります。
周りを見てアイディアや気づきを得て、自分たちの自立支援協議会に活かせることも沢山あります。
是非この記事で感じたことや、浮かんだ考えをそれぞれの自立支援協議会の運営に活かしていただければと思います。