あなたの地域の自立支援協議会はどのような活動をしていますか?
令和5年3月の障害福祉関係主管課長会議において、自立支援協議会の活性化が議論されています。
自立支援協議会の形骸化が課題として挙げられている今、法改正によって本来の目的に沿った協議を行うなど活性化が期待されています。
法改正の内容についてご理解いただき、自分たちの地域の自立支援協議会の取り組みに役立てていただければと思います。
1.自立支援協議会の目的
自立支援協議会の目的は地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うことです。
↓こちらの記事でも説明していますが、
自立支援協議会は個別のケースから地域課題を洗い出し、その課題に対して地域としてどう対応していくかを考える場。
つまり、協議のスタートは個別のケースからです。
2.個別ケースから地域課題を把握するための改正
上記が、法改正に基づく自立支援協議会の機能と構成です。
令和6年4月1日施行の障害者総合支援法の改正部分について、改正前と比較すると下記の通りです。
改正前 (協議会の設置) 第八十九条の三 地方公共団体は、単独で又は共同して、障害者等への支援の体制の整備を図るため、関係機関、関係団体並びに障害者等及びその家族並びに障害者等の福祉、医療、教育又は雇用に関連する職務に従事する者その他の関係者(次項において「関係機関等」という。)により構成される協議会を置くように努めなければならない。 2 前項の協議会は、関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における障害者等への支援体制に関する課題について情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うものとする。 引用:障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律 ▼ 改正後 第2項 改正 協議会は関係機関等が相互の連絡を図ることにより、地域における障害者等への適切な支援に関する情報及び支援体制に関する課題についての情報を共有し、関係機関 等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うものとする。 第3項・第4項 新設 協議会は地域の関係機関等に情報提供や意見の表明等の協力を求めることができることとし、協力を求められた関係機関等がこの求めに応じることについて努力義務を課す。 第5項 新設 個別の支援に係る検討に基づく地域の支援体制の検討を明確化したことに伴い、協議会関係者に対し、守秘義務を課す。 引用:令和5年3月 障害保健福祉関係主管課長会議資料 関連資料7
改正内容を見ると、地域の関係機関からもっと情報や意見を集める事が求められており、意見を求められた関係機関はそれに応じるように努力義務が課せられています。
また、集めた情報に関しては守秘義務が課されます。
自立支援協議会の本来の目的は先程も説明した通り、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行うことです。
今回の改正に至った要因は、
▶個別ケースからの地域課題の抽出と、それに対する検討がされていない
▶自立支援協議会が形骸化している
といった点が挙げられます。
自立支援協議会の現状についてデータからの考察は↓こちらをご覧ください。
データを見ると障害者団体や障害当事者が自立支援協議会に参画している割合は85%程度となっています。
参画できていない協議会や、参画していても協議会としての検討が進め切れていない側面もあると考えられます。
資料にある「地域づくりの」取り組みイメージを参考に、個別ケースからの検討の流れを地域の協議会で明確にしていくことが求められます。
3.協議会の動きが第7期障害福祉計画の成果目標に盛り込まれる
同じく会議資料の中で、令和6年度からスタートする第7期障害福祉計画の基本指針においても自立支援協議会の動きが「成果目標」として盛り込まれる予定であることが示されています。
▶個別事例の検討を通じた地域課題の抽出
▶サービス基盤の開発・改善等の体制確保
これらが成果目標として盛り込まれる予定です。
まとめ
地域の自立支援協議会が形骸化しているといった課題が挙げられています。
本来の目的に沿った協議がなされるよう障害者総合支援法が改正され、令和6年4月施行です。
法改正によって関係機関などに情報共有や意見の表明を求めることができます。
しかし、法改正だけで自立支援協議会に関する課題が解決されるわけではありません。
自立支援協議会が地域がもっと良くなるための協議の場であるよう、地域ごとに取り組みを進めていくことが大切です。