短期入所(ショートステイ)というサービスは介護保険にもあるので聞いたことがある方も多いかと思います。
今回は短期入所について使い方や活用のイメージをお伝えさせていただき、障害がある方が安心した在宅生活を継続できる手助けになれば幸いです。
1.短期入所とは
短期入所をわかりやすくお伝えすると、
在宅で生活している障害児者が、介護者が病気になったりした際に施設に短期間入所して入浴排せつ等の支援を行うサービスです。
つまりは施設で提供する短期間のお泊りサービスです。
少し前のデータになりますが、在宅生活にあたっての介護者の負担感はどうしても出てきます。安定した在宅生活を続けるためにも、介護者の負担が大きくなりすぎないようにすることが必要です。
短期入所の説明を見ると、病気になった時など保護者や介護者がどうしようもないときしか使えないサービスという印象を受けてしまうかもしれませんが、保護者、介護者等が一息つく理由で利用することが出来ます。
「そんな理由じゃ利用できません!!」ということはありませんので、ご安心ください。
2.短期入所の種類
短期入所は24時間支援をしている入所施設やグループホームなどで提供している事が多いです。
数は少ないですが、通所施設等に部屋を用意して短期入所を提供している場合もあります。
つまり、
入所施設など常に生活している方が居る中で短期入所を提供しているのが「空床型」と「併設型」
常に生活している方はいない場所で短期入所を提供するのが「単独型」
という感じで理解していただければと思います。
3.短期入所を利用するには
短期入所は子どもも大人も利用できるサービスです。
利用できる方は以下の通りです。
福祉型(障害者支援施設等において実施可能)
・障害支援区分1以上である障害者
・障害児の障害の程度に応じて厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する障害児
医療型(病院、診療所、介護老人保健施設において実施可能)(※)
※ 病院、診療所については、法人格を有さない医療機関を含む。また、宿泊を伴わない場合は無床診療所も実施可能。
・遷延性意識障害児・者、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有する者及び 重症心身障害児・者等
引用:障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 第12回(H29.10.18) 資料2 短期入所に係る報酬・基準について
対象の方が、市町村から受給を受けることで事業所と契約して利用することが出来ます。
短期入所の受給をお持ちでない方は、市町村の障害関係窓口に相談いただくか、相談支援専門員にご相談ください。
4.料金
利用料は主に利用する方の障害支援区分や利用する時間帯(朝からor夕方から)によって変わります。
事業所の体制や受け入れの仕方等でも料金の違いが出てきてしまうので、細かい説明は省かせていただきますが、区分は高い方が利用料は上がり、朝から利用した方が利用料が上がります。
利用料以外にかかる費用として
- 食費
- 日用品費
- 光熱水費
などがありますので、ご利用前に使いたい施設の利用料金についてはご確認いただければと思います。
食事の回数や利用時間によって変わりますし、当然事業所によっても差はありますが、おおよそ1泊1,000円〜3,000円程度とイメージいただければと思います。
5.短期入所の使い方
短期入所はその名の通り、基本的な利用のイメージは短期間(1泊2日や2泊3日等)が多いです。日々の生活の中で、たまに短期入所を利用しながら介護者も息抜きをして、安定した生活を継続するといった感じです。
基本は短期間での利用が前提で、最長でも30日という縛りはありますが、やむを得ない場合には市町村等と相談して長期間の利用になる場合もあります。
6.利用する際に準備するもの
ホテルに泊まる場合に歯ブラシなどのアメニティが無い場合をイメージしていただければOKかと思います。(もちろん事業所によります)
短期入所はお預かりのサービスなので、のんびりと過ごす時間も多いです。
そんな時、自分が好きなもの(ゲームや本など)を持っていくことで、暇にならずに過ごすことが出来ます。持ち込む際の管理方法については事業所と相談してください。
point:持ち物は自分のものとわかるようにしましょう。
他の方が生活している場所に行くことが多いため、自分の持ち物が他の方と混ざってしまうこともあります。自分の物と他の方の物の区別がつくように名前を書いたり印をつけたりしていただけると事業所としても助かります。
僕が関わっている施設では、持ってきたものを写真に撮ったり、洗濯などは個別に洗うなど工夫していますが、やはり生活している環境で一緒に過ごすのでどうしても混ざってしまうこともあります。
7.短期入所の課題
(1)希望通り利用できないことも多い
なんと言っても一番の課題は、希望する方が多いので個別のニーズに応じてサービスを提供できない点が挙げられます。
お泊りで支援できる事業所はやはり入所施設等が中心になるので、そこまで数が多くないです。
さらに利用したい曜日等は週末に集中することも多いです。平日は学校や通所事業所に通って過ごしているが、土日で家で過ごす時間が長いとうまく過ごせないという場合も多いんですね。
施設としても上手くバランスを取りながら、できるだけ皆さんの希望に沿ってサービスを提供しようと工夫していますが、受け入れできる定員数が限られているため難しい面もあります。
(2)送迎が無い
短期入所は通所サービスと違って送迎は無いところも多いです。また、短期入所を提供している事業所の数が少ないので、事業所までの道のりが遠いことも多く、行くことが負担になってしまうケースもあります。
8.有効的に利用するために
基本的には介護者のためのサービス。でも施設にお泊りするのは障害を持った方です。
子どもの場合は、保護者がいざという時に使いたいというご相談から契約することも多いですが、いざという時にいきなり利用することは、子どもにも大きな負担がかかります。
慣れない環境で過ごすことは苦手な方も多いので、いきなり利用するのではなく見学や短時間の利用(日中だけの預かりなど)を何度か行うなど、慣れる時間を取りながら少しずつ安心できる環境と感じてもらえるようにしていただける事が必要かと思います。
まとめ
提供できる事業所はまだまだ少ないですが、在宅生活を安定的に継続するためにはとても有効なサービスです。
うまく利用することで介護者が一息つくことが出来て、障害を持った方が家庭だけでない居場所を作って自分の世界を広げていく事もできます。
何より、在宅で生活している障害を持った方を地域で支える体制を構築することが出来ます。
いざという時に介護者も障害を持った方も困らないように、うまく活用していきましょう。