児童虐待の防止等に関する法律(以下 児童虐待防止法)は2000年11月に施行され、これまで数回の改正が行われてきました。
しかし今も罪もない子どもが虐待を受け命を失うケースは後を絶ちません。
子どもたちを守るために、法律で定められていること、推進されていることを学ぶことはとても大切だと思います。
法律は言い回しも難しく、気軽に読むにはハードルが高いものだと思いますので、僕なりにポイントを抑えながらできるだけわかりやすく解説させていただきます。
この記事で子どもへの虐待を防止するための国の取り組みを知っていただければ幸いです。
児童虐待の現状は↓こちらをご覧ください。
1.目的
(目的)
第一条 この法律は、児童虐待が児童の人権を著しく侵害し、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、我が国における将来の世代の育成にも懸念を及ぼすことにかんがみ、児童に対する虐待の禁止、児童虐待の予防及び早期発見その他の児童虐待の防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護及び自立の支援のための措置等を定めることにより、児童虐待の防止等に関する施策を促進し、もって児童の権利利益の擁護に資することを目的とする。
引用:児童虐待の防止等に関する法律
児童虐待防止法の目的です。
虐待は子どもの成長や国の将来にも大きな影響を与えるものであり、虐待を明確に禁止して、防ぐためにこの法律が定められています。
子どもの人権についての記載は法改正で修正されて示された内容です。児童の人権は守られるべきであることを改めて明記したということですね。
2.児童虐待の定義
虐待は「保護者」がその「監護する子ども」に対して、以下のような行為をすることを虐待と定義しています。
身体的虐待
子どもに怪我をさせたり、怪我をするような暴力を加えること。
放棄・放置(ネグレクト)
子どもが成長できないくらい食べ物を与えなかったり、長時間放置したりするなど、保護者としてやるべき養育をしないこと。
また、保護者以外の一緒に住んでいる方からの虐待行為を放置することもネグレクトに含まれます。
心理的虐待
子どもにひどい言葉を言ったり、ひどく拒絶したりするなど、子供の心をひどく傷つける言動をおこなうこと。
子どもの目の前でDVが行われること(面前DV)も心理的虐待に含まれます。
性的虐待
子どもにわいせつな行為をしたりさせたりすること。
3.児童虐待の禁止
(児童に対する虐待の禁止)
第三条 何人も、児童に対し、虐待をしてはならない。
引用:児童虐待の防止等に関する法律
子どもに虐待をしてはならないということが、しっかりと明記されています。
4.通告の義務
第六条では児童虐待を受けたと思われる児童を発見した方は、早く児童相談所等に通告しなければならないと明記されています。
これは国民みんなに、通告の義務があるということです。
特に理解していただきたいのは「虐待を受けたと思われる児童」というところ。
虐待と確定していない段階でも、虐待と思ったら通告してくださいということです。
また、学校や幼稚園の先生など、子どもの身近に居る方は虐待を発見しやすい立場として早期発見に努めることも求められています。
通告を受けた児童相談所等は通告者についての情報を漏らしてはならないということも定められています。
5.国や市町村等の責務
国や市町村に求められていることとして
これらなどが示されています。
体制整備など行政でないと出来ないこともありますし、通告義務など虐待を防止するためにみんな知ってほしいことを広めることはとても大切ですね。
6.出頭要求・立ち入り調査
児童虐待が行われている恐れがあると認められた時は、保護者に児童と一緒に出頭するように求めたり立ち入り調査をして、必要な調査や質問をすることが出来ます。
都道府県知事が立入調査を実施し、かつ、重ねての出頭要請を行っても、保護者がこれに応じない場合には、裁判所の許可状を得た上で、解錠等を伴う立入調査も可能です。
7.子どもの保護
通告を受けたらすみやかに安全を確認して、必要に応じて一時的に保護したり、施設入所に措置をするなど必要な措置を行います。
8.虐待を行った保護者に対する指導
虐待を行った保護者には、再発を防止するために、医学的または心理学的知見に基づく指導を行うよう努めることも示されています。
虐待を繰り返さないための取り組みは重要です。
まとめ
POINTを絞って児童虐待防止法について解説させていただきました。
法律の中では、
「何人も、児童の健全な成長のために、家庭(家庭における養育環境と同様の養育環境及び良好な家庭的環境を含む。)及び近隣社会の連帯が求められていることに留意しなければならない。」
と示されています。
子どもは家庭の影響を受け、家庭は社会の影響を受けます。
自分たちの身近にいる子どもたちが健やかに成長するために、自分たちに出来ることは子どもは大切な存在としてみんなで見守り、みんなで育てていくことだと思います。
私達一人ひとりの想いと行動で、目の前にいる子どもの笑顔を守りましょう。