こども基本法が制定され、令和4年4月からこども家庭庁が創設されます。
日本はこどもの権利を守れる社会づくりを目指しています。
しかし、厚労省から報告された令和3年度の児童相談所の児童虐待相談対応件数は前年度を超え過去最多を更新しました。
こどもへの虐待は社会的な問題です。
児童虐待の現状を理解して、こどもが健やかに成長できる社会を目指しましょう。
児童虐待の類型など詳しいことは↓こちらをご覧ください
1.児童虐待対応件数の推移は右肩上がり
推移をみると、基本的に虐待相談対応件数は右肩上がりになっています。
令和2年度が205,044件で、初めて20万人を超えたことが話題になりました。
令和3年度はさらに2,615件増えて、207,659件。1.3%の増加です。
※「相談対応件数」とは児童相談所が相談を受け、援助方針会議の結果により指導や措置を行った件数です。
2.増えた要因の1つは虐待相談窓口が普及したから
厚労省の資料では虐待対応件数が増加した理由として
①心理的虐待に係る相談対応件数の増加
②家族親戚・近隣知人・児童本人等からの通告の増加
上記2点を挙げています
①について虐待相談の内容別件数をみると、
確かに心理的虐待が令和2年度より3,388件増加と他の虐待内容よりダントツに増えています。
心理的虐待にはこどもの目の前でDVが行われること(面前DV)も含まれています。
心理的虐待が増加した背景の検討が必要です。
②について厚労省は自治体の聞き取りから「虐待相談窓口の普及によって、家族親戚・近隣知人・児童本人からの通告が増えている」と報告しています。
相談経路を見ると警察からが約50%と最も多く、その次に近隣知人→児童本人→家族親戚の順になっています。
令和2年度と3年度の件数の比較をすると、
家族親戚 | 近隣知人 | 児童本人 | |
令和2年度 | 16,765 | 27,641 | 2,115 |
令和3年度 | 17,344 (+579) | 28,075 (+434) | 2,529 (+414) |
上記の表のとおりこれら3つの相談経路は増加しています。
虐待相談窓口の理解が広がり、こどもへの虐待へ危機意識が高まって相談件数が増えていることが増加要因の1つとして考えられるということです。
こども本人から相談が出来ることは大切ですね。
3.令和2年度に比べて最も虐待が増加した都道府県は「沖縄県」
上記は「都道府県・指定都市・児童相談所を設置している市」別に虐待相談対応件数を昨年度と比較した表です。
20%以上増加している都道府県 岩手県-24%↑ 宮城県-23%↑ 鳥取県-24%↑ 沖縄県-37%↑
元々の件数の違いがあるため、あくまで増加割合での比較となります。
指定都市を見ると、仙台市(39%↑)と千葉市(29%↑)が増加割合が高いです。
児童相談所を設置している市では金沢市(45%↑)がかなり増加しています。
地域によっても増減の差が大きくあることがわかります。
皆様の地域はどういった傾向があるかをご確認頂ければと思います。
4.もしかしてと思ったら通報しよう
第六条
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所または児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならない。
引用:児童虐待の防止等に関する法律
児童虐待防止法には「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」と記載されています。
つまり、「もしかして?」と思った段階で通告することが義務付けられています。
▶鳴き声や怒鳴り声が頻回に聞こえる
▶こどもに怪我やあざがある
▶保護者が孤立している
これらのサインがあった時、こどもの権利を守れるのは気付いたあなたです。
子育てに疲弊している保護者を救うことにもつながります。
児童相談所虐待対応ダイヤル 189に連絡しましょう
通告や相談は匿名で行うこともできます。
まとめ
児童虐待の相談対応件数は右肩上がりで、最多を更新しています。
最も増加した虐待内容は心理的虐待です。
まずはこの残念な現状を理解することが大切です。
そして日本の将来を担うこどもたちが健やかに成長できる社会であるために、何ができるのかを皆で考えていきましょう。