放課後等デイサービスを利用したいけど、どこがいいの?
沢山あって選べない・・・
児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所選びで迷っていませんか?
障害児通所支援は児童福祉法に定められている障害児を対象とした通所支援です。
利用することで、専門的な支援で子どもの成長を促すだけでなく、家族も支援を受けることができます。
しかし障害児通所支援は数多くあり、それぞれの特色や方針は異なります。
※児童発達支援事業所:8,265事業所、医療型児童発達支援事業所:89事業所、放課後等デイサービス:15,834事業所 (令和3年2月国保連データ)
子どもの成長に関することなので、どの事業所を利用するかは大きな決断であり、迷ってしまうことも多いでしょう。
この記事では20年以上障害福祉に携わっている支援者の視点で、児童発達支援事業所の選び方について6つのポイントをご紹介します。
障害児通所支援は子どもだけでなくご家族全体の生活の安心につながるものです。
ぜひこの記事を読んで、事業所選びの参考にしてみてください。
通所は児童発達支援と放課後等デイサービスの2つ
障害児通所支援は児童福祉法に定められた、障害児支援です。
子どもが通う形態の事業には児童発達支援と放課後等デイサービスの2つがあります。
それぞれの種類と対象は、例外を省いて簡単に説明すると下記のとおりです。
事業の種類 | 主な対象 |
---|---|
児童発達支援 | 未就学 |
放課後等デイサービス | 就学児 |
※児童発達支援には事業とセンターという2つの区分けがありますが、通所利用する上ではどちらも変わりはありません。
子どもの年齢によって利用できるサービスに違いがあることを理解しましょう。
ポイント1:利用目的を明確に!
まず最初に考えるべきは、利用目的です。
「何のために障害児通所支援を利用したいのか」という事を明確にしないと、自分の希望に合った事業所を探すことが難しくなります。
- 言葉の遅れが気になる
- 子どもへの対応の仕方を知りたい
- 子どもの友達を増やしたい
- 同じ悩みを持った保護者と知り合いたい
- 自由になる時間が欲しい
どんなことでも構いません。
悩んでいる現状や、こうなりたいという希望を洗い出してみましょう。
もちろん1つに限らず複数あると思います。
思いつくままに出していただいてOKですが、その場合は優先順位も同時に考えましょう。
全ての希望や悩みに完璧に対応出来る事業所はありません。
事業所としてもたくさんの要望を出されても困ってしまいますが、「これだけは!」という強い要望にはできるだけお応えしたいと感じるものです。
悩みや希望を自分なりに整理して、大まかにでも優先順位を付けてみましょう。
整理したあなたの思いや現状は、事業所を選ぶための最も大切な材料になります
ポイント2:事業所の強みと弱みをチェック!
利用したいと思ったら、数多くある事業所について知ることが必要です。
地域によっても違いますが児童発達支援や放課後等デイサービスは数多くあり、提供しているサービス内容も千差万別です。
希望にあった事業所を見つけるために、事業所の強みと弱みをチェックしましょう。
強みの例
・個別支援に特化している
・運動する機会を多く取り入れている
・専門職(作業療法士・言語聴覚士等)がいる
・スタッフの人数が多い
・サービス提供時間が長い
・ペアレントトレーニングの機会がある
・保護者が交流できるコミュニティがある
弱みの例
・送迎に対応していない
・建物が古い、狭い
・スタッフが少ない
・サービス提供時間が短い
事業所の強味と弱味を知った上で、自分の利用目的と照らし合わせてみましょう。
また事業所によっては医療的ケア児等、受け入れている子どもの障害種別にも違いがあります。
どういった子どもを中心に受け入れているかを確認することも必要です。
どの事業所にも強みと弱みがあります。
利用目的と、事業所の強みと弱みを照らし合わせると利用したい事業所が見えてきます
ポイント3:早めの検討と行動が大切!
児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所数は増え続けています。
それは障害児支援の需要が多くあるからです。
しかし、事業所数は地域によっても大きく差があるのが現状です。
平成元年度のデータなので、少し前ではありますが都道府県によって児童1,000人当たりの事業所数に大きな開きがあることがわかります。
つまり地域によっては利用したいと思っても、そもそも利用しにくい可能性があります。
さらに、お住まいの地域に多くの事業所があったとしても、人気がある事業所は当然利用希望も集まります。
支援者の視点で見ても、事業所の数が増えると共に事業所が提供する支援の質にも開きが出てきています。
利用したいと思っても、定員に空きがない事も十分に考えられます。
だからこそ早めの検討と行動が大切です。
また、子どもの状態は様々な外的要因によって変化します。それは家庭の状況も同様です。
子どもを見てもらっていた祖父母の体調が変化したら?
兄弟ができたら?
仕事場所や時間が変わったら?
通所支援が必要な状況になってから動きだしでは、充分な検討時間が取れないことが多いです。
事業所の立場としても切羽詰まった状態での相談は準備が不十分な中で対応しなければなりません。
それだけでなく、準備の不十分さは結果的に双方の想いのすれ違いになりかねないためとても難しさを感じます。
希望の事業所に通うために、いざという時焦らないために、検討と行動はお早めに!
ポイント4:見学や体験を利用しよう!
事業所を選ぶ時に一度は行っておきたいのが、見学や体験です。
体験はもちろんですが、見学にもできるだけ子どもを連れていきましょう。
「いつもと違う場所で子どもが不安定になるかもしれない。」
「子どもと一緒だとゆっくり見学や話もしにくい。」
これらの考えもあるかと思いますが、実際に利用する立場である子どもの反応は事業所選びの大きな材料になります。
事業所としても、利用を希望する方とのミスマッチは極力避けたいと思っています。
だからこそ事業所を知ってもらえて、子どもの様子を直に見ることが出来る見学や体験は貴重な場です。
「こんなはずじゃなかった」と、ならないためにも出来る限り見学や体験をしましょう
ポイント5:相談支援を活用しよう!
6つのポイントをご紹介していますが、これらすべてを一人で行ってくださいということではありません。
障害児通所支援を利用するためには計画を作成する必要があるのですが、その計画を作成するのが相談支援です。
相談支援は保護者に寄り添いながら、障害児通所支援の利用について一緒に考えてくれます。
また、障害児通所支援の利用にはいろいろなパターンがあります。
▶毎日同じ事業所に通う。
▶幼稚園や保育園、児童クラブも利用しながら通う。
▶複数の事業所を曜日を分けて通う。
それらを含め、事業所選びのための必要な情報の提供や、見学の調整等も行ってくれることでしょう。
それなら、「いざとなったら相談支援に相談すればいいや」と思うかもしれませんが、相談支援も万能ではありません。
相談支援は常に正しい答えを出す存在ではなく、あくまで一緒に考える立場です。
最適な事業所選びには、保護者が状況や悩みを整理して情報を集め、自分たちで考えることも大切です。
また、相談支援の数が足りていない地域もあります。
相談支援が足りない時は、セルフプランという保護者が計画を作成して障害児通所支援を利用する場合もあります。
いずれにせよ使えるものは有効的に活用しつつ、全てを丸投げにしないことが大切です。
活用できるものは積極的に活用しつつ、丸投げは厳禁
ポイント6:一度選んでおしまいじゃない
ポイントを押さえて事業所を選んで、ようやく利用につながった時にほっと一安心頂きたいところではありますが、事業所選びは一度きりではありません。
▶子どもの成長に伴って、集団活動に強みのある事業所を検討する
▶仕事の変化に伴って、もっと長い時間利用できる事業所を検討する
なども考えられます。
現在利用している事業所にお願いすることも当然できますが、対応できない可能性もあります。
子どもの成長や家族の状況に応じて、利用目的や利用方法を見直すことが必要です。
逆に言えば、一度選んだ事業所をずっと利用しないといけないということでもありません。
ポイントを押さえて選んだとしても、利用してみたら思っていたのと違うということもあります。
事業所が子どもや保護者のニーズに合わない場合は、違う事業所を選ぶことは当たり前の事です。
もちろん、事業所選びは保護者にも子どもにも大きな負担となるため、コロコロと事業所を変えることは望ましいことではありません。
しかし、障害児通所支援は利用する方がうまく活用するものです。
ただでさえ障害児を育てる保護者には多くの負担や心労があります。
「選んだ事業所が良くなかったらどうしよう」など重く考えすぎず、イマイチだったら次も考えようという姿勢も大切かと思います。
障害児通所支援は安心した生活を送るための方法の1つ、子どもや家庭の状態に合わせて柔軟に活用しよう
まとめ
この記事では児童発達支援事業所の選び方について6つのポイントをご紹介しました。
事業所選びのポイントをまとめると
①悩みやこうなりたいという希望を整理して、利用目的を明確にしましょう。
②事業所の強みと弱みをチェックしましょう。利用目的に対応出来る強みを持った事業所を探そう
③焦らないためにも、早めに考えて動き出そう。状況はいつ変わるかわからない。
④実際に見ることでしかわからないこともある。子どもと一緒に見に行こう。
⑤1人で悩まず相談支援を活用しよう。保護者に寄り添って一緒に考えてくれるはず。
⑥生活に変化はつきもの。柔軟に活用しよう。事業所選択を重く考えすぎないことも大切。
障害児通所支援は子どもの発達を促すだけでなく、ご家族の悩みや不安にも寄り添ってくれる制度です。
これらのポイントを押さえながら、自分たちに合った事業所を見つけてください。