児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援サービスは、障害を持つこどもたちとそのご家族にとって、日常生活や社会参加において重要な役割を果たします。
これらのサービスは、こどもたちが社会的スキルを学び、成長につながる支援を提供することを目的としています。しかし、利用する際にはメリットとデメリットの両方を理解することが必要です。
「こんなはずじゃなかった」となる前に、利用するうえでのメリットとデメリットを理解しましょう。
1.障害児通所支援事業とは
障害児通所支援は児童福祉法に定められた、障害児支援です。
子どもが通う形態の事業には児童発達支援と放課後等デイサービスの2つがあります。
それぞれの種類と対象は、例外を省いて簡単に説明すると下記のとおりです。
事業の種類 | 主な対象 |
---|---|
児童発達支援 | 未就学 |
放課後等デイサービス | 就学児 |
※児童発達支援には事業とセンターという2つの区分けがありますが、通所利用する上ではどちらも変わりはありません。
子どもの年齢によって利用できるサービスに違いがあることを理解しましょう。
2.メリット
a)専門的な支援を受けることができる
障害児通所支援は専門的な知識を持ったスタッフが支援を提供します。
発達段階やこどもと保護者のニーズに沿って支援を提供するために個別支援計画という計画を作成します。
個別支援計画の作成時には、こどもや保護者のニーズを確認することが定められています。
また支援を開始する前には計画について保護者の同意が必要となっているため、保護者に支援の内容について知らされないということはありません。
専門的なスキルと経験を持ったスタッフが、こどもの成長をサポートし、保護者の子育ての悩みに寄り添う立場になります。
b)様々な体験ができる
障害児通所支援のいろいろな活動プログラムに参加することで、様々な体験ができます。
▶友達と一緒の活動
▶外出(買い物訓練、レジャー施設等)
▶調理実習や創作活動
これらの体験はこどもの成長に大きく影響します。
こどもにいろいろな体験をさせたいと思っても、仕事や家事で追われてしまっていることも多いのではないでしょうか?
障害児通所支援はこどもに様々な経験をさせる場としても有効です。
c)家族の負担が軽減される
子育ては、わからないことばかり。
仕事も休めない・・・
きょうだいがいるから、一人だけに手をかけるわけにもいかないし・・・
ゆとりを持って子育てができるケースは少ないですよね。
そんな時、障害児通所支援を利用することで
①自由な時間が生まれ、時間的なゆとりができる
②悩み相談等ができて、精神的なゆとりができる
これらの効果が見込めます。
「こどもの発達に遅れがあるかも?」そう考えたときの保護者の不安は図りしれません。
決して不安や悩みを抱え込まず、上手にサービスを利用しましょう。
d)同じ立場の保護者と交流できる
幼稚園や保育園でママ友やパパ友ができるように、障害児通所支援を利用する中で自然と他の保護者と接する機会があります。
また事業所によっては保護者同士の交流に力を入れて、機会を多く設定している場合もあります。
不安だらけの子育ての中で、同じようなことで悩んでいる保護者の存在は心の支えになります。
「自分だけじゃない」
「同じことで悩んでいるんだ」
こどものことや家庭のことを話すだけで、心のモヤモヤが晴れていくこともあると思います。
3.デメリット
a)希望通りに利用できないことがある
障害児支援事業所の数は年々増加していますが、地域によって差があることも多いです。人口規模が多い街には沢山あるけど、人口が少ない街には1つや2つもしくは1つもないことも珍しくありません。
また、いくつか事業所があったとしても評判がいい事業所は当然定員は埋まりやすいです。
「こどもや家庭の状況に合わせて選べないこともある」という理解は必要です。
b)経済的な負担がかかる
障害児支援事業は福祉サービスではありますが、民間が運営しているサービスですので利用料はかかります。
とはいえ1割負担であること、さらに世帯収入によって利用料の上限(0〜37,200円)は決まっており、未就学児には無償化制度もあります。
様々な対応で比較的利用しやすくはなっていますが、その他に実費分がかかることも忘れてはいけません。
食べるものや、イベントへの参加など活動プログラムに参加する中でかかる実費もありますので、見学や契約の際に費用については確認することをお勧めします。
c)連絡調整の負担が増える
利用する場所が増えるということは、逐一連絡を取る場所が増えるということです。
こどもに合った支援のためにはこどもと家庭の状態を事業所に共有しておくことは大切であるため、保護者にとってその手間が増えることは避けられません。
この日は、学校が早下校だから事業所にも連絡しないと!
こういった細かい連絡も手間にはなりますが、利用する以上はとても大切なことでもあります。
また事業所と幼稚園、事業所と学校など関係機関同士の連携も必要です。
当然連携は関係機関同士で実施することでもありますが、それでも保護者の意向を伝えて、現状を把握することは大切です。
関係機関の連携の動きを保護者も理解しておかないと、いつのまにか思いもしない事態になってしまうかもしれません。
d)こどもへの影響は読めないことも多い
こどもに適切な支援を提供する障害児通所支援ですが、実際に通い始めてから子どもにどのような影響が出るかは、通ってみないとわからないことでもあります。
環境に慣れるのに時間がかかる
家に帰ったらとても疲れている様子が見られる
本当は平日はすべて利用したいと思っていても、上記のような理由があってなかなか進まないということもあり得ます。
もちろん安心して通うために、事前にこどもの情報をしっかりと聞いて安心できるような対策を事業所としても行います。
しかし、通ってみないとわからないこともあることも事実です。
事前準備の大切さと合わせて、想定と違っても柔軟に対応できるような備えをしておくことも必要です。
まとめ
障害児通所支援を利用する際のメリットとデメリットについてご紹介しました。
サービスを利用するかどうかは、これらのメリットとデメリットを総合的に考慮した上で、ご家族や支援者等と相談しながら決定することが大切です。
児童発達支援や放課後等デイサービスは、こどもにとっても保護者にとっても大きな支えとなる存在です。
しかし、理解不足・検討不足で利用することで思いもよらない結果に結びついてしまうこともあります。
理解を深めて上手に活用しましょう。