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保育所等訪問支援ガイドラインをわかりやすく解説!インクルージョンの推進に向けて

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コンセプト
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ご存じですか?保育所等訪問支援。

児童発達支援や放課後等デイサービスよりは知られていないと思いますが、こどもやその家族を支援する大切なサービスです。

今回は令和6年7月に示された保育所等訪問支援ガイドラインの第1~5章部分をわかりやすく解説します!

出来るだけわかりやすく解説していますので、保育所等訪問支援を提供している方はもちろん、発達支援に関心のある方や保育や教育に携わる方も必見です!

ご覧いただければ保育所等訪問支援に求められていること、そして重要性が見えてきます。是非ご覧ください。

  • 質の高い支援を提供するため、支援の内容や運営等関連する事項を定める。
  • 事業所はガイドラインの内容を踏まえ、こどもや家族、地域の実状に応じて創意工夫をはかって支援の向上を図らないといけない。
  • ガイドラインの内容を踏まえ、こども施策の基本理念にのっとって、障害のあるなしに関わらず権利行使の主体であるこども自身がウェルビーイングを主体的に実現していく視点を持って支援する。

ポイントをまとめると上記の通りです。

ガイドラインの目的は児童発達支援や放デイと変わらない内容となっています。

障害のあるなしに関係ない、こども施策の基本理念について記載されています。

<こども施策の基本理念>
○ 全てのこどもは大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと。
- 全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること。
○ 全てのこどもは、大事に育てられ、生活が守られ、愛され、保護される権利が守られ、平等に教育を受けられること。
- 全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること、その健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること。
○ 年齢や発達の程度により、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会の様々な活動に参加できること。
- 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。
○ 全てのこどもは年齢や発達の程度に応じて、意見が尊重され、こどもの今とこれからにとって最もよいことが優先して考えられること。
- 全てのこどもについて、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されること。
○ 子育ては家庭を基本としながら、そのサポートが十分に行われ、家庭で育つことが難しいこどもも、家庭と同様の環境が確保されること。
- こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対してこどもの養育に関し十分な支援を行うとともに、家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保することにより、こどもが心身ともに健やかに育成されるようにすること。
○ 家庭や子育てに夢を持ち、喜びを感じられる社会をつくること。
- 家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境を整備すること。
引用:放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)

その他にも


にも触れており、障害児支援に携わる者はこども施策・障害者施策の基本理念をしっかりと理解することが求められています。


また、

これらの2つの内容も理解することと示されています。


さらに、障害の有無にかかわらず「誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援」を重要視して、子どもが権利の主体であることこどもの意見を表明する機会等の取り組みが求められています。

大きくまとめると

  • 合理的配慮の提供
  • 切れ目ない支援として、子育て施策全体の連続性の中で、「面」で支えていく
  • こどもと家族のウェルビーイング
  • インクルージョンの推進
  • エンパワメントを前提とした支援

これらの内容が強く示されています。

児童福祉法における保育所等訪問支援の規定が記載されています。

<児童福祉法>
〇 保育所等訪問支援とは、保育所その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに通う障害児又は乳児院その他の児童が集団生活を営む施設として内閣府令で定めるものに入所する障害児につき、当該施設を訪問し、当該施設における障害児以外の児童との集団生活への適応のための専門的な支援その他の便宜を供与することをいう(第6条の2の2第5項)。
<児童福祉法施行規則>
〇 法第6条の2の2第5項に規定する内閣府令で定める施設は、乳児院、保育所、児童養護施設、学校教育法に規定する幼稚園、小学校及び特別支援学校、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に規定する認定こども園(保育所又は幼稚園であるものを除く。)その他児童が集団生活を営む施設として市町村が認める施設とする(第1条の2の5)。
引用:保育所等訪問支援ガイドライン(令和6年7月)
保育所等訪問支援は、保育所・幼稚園・認定こども園、小学校・中学校・高等学校、特別支援学校、乳児院、児童養護施設、放課後児童クラブ(以下「保育所等」という。)など、こどもが集団生活を営む施設を訪問し、集団生活への適応のために専門的な支援を行うものである。 
引用:保育所等訪問支援ガイドライン(令和6年7月)

①こどもの集団生活への適応と子どもの育ちの充実

こどもが保育や教育等の集団生活の場で、安全・安心に過ごすことが出来るよう支えつつ、発達上のニーズに合わせて、こどもの育ちの充実を図る。

②成長を喜び合える土台作りと家族への支援を通じたこどもの暮らしや育ちの安定

家族の心情を理解した上で、家族がこどもの発達状況等を理解し、その低調を喜び合うことが出来る土台を作り、兄弟を含めた家族をトータルに支援する。

③訪問先施設への支援を通じたこどもの育ちの安定

訪問先の移行を受け止め、困っていること等を丁寧に把握した上で、訪問先施設のこどもに対する支援力を向上させてこどもの育ちを支える。

④保育所等における全てのこどもの育ちの保障

こども・家族・訪問先の移行を踏まえ、集団生活の場における環境等をととのえることを通じて、保育所等において全てのこどもが共に成長できるよう支援していく。

以上の4点を目標として、地域社会へインクルージョンを推進していくことが重要と示されています。

こども・家族・訪問先施設のニーズに基づき、

  • こども本人に対する支援
  • 訪問先施設の職員に対する支援
  • 支援後のカンファレンス等におけるフィードバック

これら支援の提供を通して、こどもの集団生活への適応を支援することが必要です。

また、訪問実施後は家族への報告はもちろん、関係機関と連携しながら今後のかかわり方の改善や環境調整等につなげることが求められます。

また、保育所等訪問支援において以下の点に留意することが示されています。

①適切なアセスメントを実施して、こどもが安心感と信頼感を持って訪問先において活動出来るよう、こどもの主体としての想いや願いを受け止める

②こどもの発達や障害特性を理解し、個人差に配慮しながら発達の過程に応じて支援する。

③こどもの互いに尊重する心を大切にして、集団生活における活動を効果あるものにするよう援助する。

④こどもが自発的、意欲的に関われるような環境を構成し、こどもの主体的なこども相互のかかわりを大切にする。

⑤遊びを通して適切に職員が関わり、豊かな感性や表現する力を養えるよう支援を行う

⑥単に運動機能や検査上に表される知的能力に留まらず「育つ上での自信や意欲」等も踏まえ、可能性を広げることや、苦手に挑戦できる支援を行う。

⑦保護者の状況や移行を理解し、受容し、それぞれの親子関係等に配慮しながら適切に支援する。

⑧こどもや家庭を包括的に支援していくため事業所でこどものニーズを多方面から総合的に捉え、チームアプローチによる支援を行うと共に、地域の関係機関との連携体制を構築する。

訪問先施設の職員が障害のあるこどもへの対応力や支援力をつけることが出来るようエンパワメントの視点で支援を行う。

⑩こどもが利用している集団生活の場におけるこどもの育ちと個別のニーズを共に保証した上で、訪問先施設において全てのこどもがともに成長できるよう意識して支援を行う。

⑨・⑩の内容が特に訪問支援に特化した表記となっています。

こちらの内容は児発ガイドライン・放デイガイドラインと同様となっています。

  • 障害の有無にかかわらずこどもの人権に十分配慮し、人格や意見を尊重して支援を行わなければならない
  • 家族の意向を受け止め、家族に対し支援内容を適切に説明し、相談等に対して適切に対応しなければならない。
  • 地域社会との交流や連携を図って、事業所の支援内容等の情報を適切に発信しなければならない。
  • 計画に基づいて提供される支援内容や役割分担を定期的に点検し、質の向上を図るとともにこどもが安心できるよう安全管理対策を講じなければならない。・通所する子どもやその家族の個人情報を適切に取り扱わなければならない

管理者や児発管だけでなく支援を提供するスタッフもしっかりと理解しておきたい内容です。

インクルージョンを推進していく役割であるため

  • 児童発達支援ガイドライン
  • 放課後等デイサービスガイドライン
  • 保育所保育指針
  • 幼稚園教育要領
  • 幼保連携型認定こども園教育・保育要領
  • 小学校学習指導要領
  • 中学校学習指導要領
  • 高等学校学習指導要領
  • 特別支援学校幼稚部教育要領
  • 特別支援学校小学部・中学部学習指導要領
  • 特別支援学校高等部学習指導要領
  • 放課後児童クラブ運営指針
  • 児童館ガイドライン
しょーなり
しょーなり

これらについて理解して留意しながら支援にあたる必要があると示されています。

すごい量ですよね。

児発と放デイのガイドラインについても合わせてご覧ください。

保育所等訪問支援の内容は

【こども本人に対する支援】

【訪問先施設の職員に対する支援】

【家族に対する支援】

からなります。

こども本人だけでなく、訪問先や家族に対する支援を通して総合的に育ちの環境を整えていくことが強く求められます。

この支援の目標は、「将来こどもが日常生活や社会生活を円滑に営めるようにする」ことです。

訪問先施設における生活の流れの中で支援を行って、その支援が訪問先施設に引き継がれていくことを目指します。

この支援の目標は、「集団生活の場において全てのこどもが共に成長できるように育ちと個別のニーズを共に保証した上で、こどもに対して適切な支援や関わりが行われるようにしていくこと」です。

訪問先施設のこどもに対する支援力の向上のために、こどもの特性等の理解を促し、それらを踏まえた関わり方や環境等について助言を行います。

しょーなり
しょーなり

訪問先施設の移行を踏まえるのはもちろん、訪問先施設の理念や支援方法を尊重する姿勢が大切です。

障害のあるこどもを育てる家族が安心して子育てを行い、安心して保育所等に通わせることが出来ることを目指します。

保護者に対して、訪問先でのこどもの様子や関わり方などを含め支援の内容を伝えることが必要。何よりも家族の気持ちを受け止めて、意思を尊重する姿勢が大切です。

基本の想定は、週間に1回程度。ひと月に2回程度

あくまで個々のニーズに応じた支援を行うことが基本なので、こどもの状況に応じて訪問できるよう相談支援事業所や市町村との密な連携が必要です。

保育所等訪問支援計画に定めた上で、30分以上の提供が求められています。

こどもの行動観察や訪問先への支援力向上のための支援を行うことを考えると、

「こども本人に対する支援」・「訪問先施設の職員に対する支援」⇒1時間程度

訪問支援後のカンファレンス等を通じた訪問先への報告⇒30分程度

上記時間が基本になると考えられます。

訪問については訪問先施設の活動の流れに沿って行われるものなので、訪問時間は訪問先との丁寧な調整が必要です。

計画作成についてはガイドライン別添1の個別支援計画の記載のポイントをご覧いただくとわかりやすいかと思います。 

計画作成の記載のポイントについてはこちら⇩をご覧ください。

保育所等訪問支援ガイドラインには児発や放デイのガイドラインと違い、アセスメントの実施に際して聞き取りの参考項目が記載されています。

出典:保育所等訪問支援ガイドライン(令和6年7月)
出典:保育所等訪問支援ガイドライン(令和6年7月)

児発や放デイのように、自分たちの事業所内で支援する形式ではないからこそ、丁寧なアセスメントが求められています。

ガイドラインには支援の流れが示されています。

①訪問先施設の日程調整

②行動観察

③こども本人に対する支援

④訪問先施設の職員に対する支援

 把握した子どもの強み、訪問支援員がどういう意図をもってこどもに支援したか等を伝える。

 指導という姿勢ではなく、訪問先の職員が自立的に考えていけるように支援する姿勢が求められる。

⑤カンファレンス

 なるべくその日のうちにカンファレンスを実施。こどものニーズや今後の支援の方向性を共有。

⑥保護者への報告

 保護者の負担に配慮して、相談しながらオンライン等柔軟な方法で対応。

⑦訪問支援の記録

  • 目標が達成された場合
  • 状況が変化した場合
  • 当初から期間設定がされている場合

上記の場合が想定されますが、当てはまるから一律に終了と判断するのではなく、こどもや家族のニーズを丁寧に把握した上で、支援を継続するかの判断が必要です。

保育所等(訪問の対象となる施設)

個別支援計画作成においては、訪問支援事業所に加えて訪問先の職員を招集して会議を開催することが求められる。訪問先との信頼関係構築のために、保護者の同意を得た上で情報共有を行う等、日ごろから顔の見える関係性作りが重要。

市町村

地域のニーズや資源等を把握する。こどもと家庭に関わる部局が多いため包括的な支援のため連携体制の構築が必要。市町村に対して、保育所等訪問支援の地域への周知のために具体的な提案なども大切。

児童発達支援センター

保育所等訪問支援はインクルージョンの推進にあたって重要な事業であるため、地域のインクルージョン推進を担う児童発達支援センターと連携して、地域全体の支援力の向上に努めることが大切。児童発達支援センターは保育所等訪問支援事業の指定を受けることが求められている。

児童発達支援事業所や放課後等デイサービス事業所

保育所等と児発や放デイを併せて利用しているこどもも多いため、必要な支援について共通認識を持って適切な支援を進めることが大切。そのため保護者の同意を得て、計画の共有など情報共有を図る。

こども家庭センターや児童相談所

特に支援が必要な家庭のこどもに対して支援を行うためにも障害児施策だけでなく母子保健や子育て支援と連携して課題に対応していく

事業所を利用する子どものきょうだいがヤングケアラーの場合なども同様に関係機関と連携して支援につなげる。

(自立支援)協議会等や地域

(自立支援)協議会や要保護児童対策地域協議会等への積極的な参加を行い、地域支援体制を構築する。

保育所等訪問支援と類似する事業の実施機関との連携

「地域障害児支援体制強化事業」「障害児等療育支援事業」などの事業は保育所等訪問とは違い、保育所等から直接依頼を受けて訪問することが可能。それぞれの事業の特色を踏まえ、連携を図りながら、役割分担を行って取り組みを進めていくことが大切。

保育所等訪問支援ガイドラインでは多くのことが示されていましたが、ポイントとしては

  • 幅広い対象であるため、保育所や学校等の指針や指導要領等の理解を深める必要性
  • 訪問先を尊重した姿勢とエンパワメントの視点
  • こどもや家族だけでなく訪問先を含めた丁寧なアセスメント
  • 地域全体の支援力向上とインクルージョンの推進

上記が挙げられるかと思います。

保育所等訪問支援はインクルージョンの推進において重要な支援です。

うまく活用することで、こどもがいつも通う場所で安心して過ごすことができます。

理解を深めて適切に支援すると共に、上手に活用しましょう。

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