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【障害者権利条約】わかりやすく解説

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制度
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しょーなり
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障害者の権利に関する条約(以下 障害者権利条約)をご覧になったことはありますか?

「日本は障害者権利条約に批准している。」

「批准するために日本国内の障害関係の法制度を整備した。」

といった情報は聞いたことがあっても、実際に条文を見たことが無い方も多いかと思います。

障害者について定めた国際条約と聞くと、何か特別なことが書かれていると思う方もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。

障害がある方の権利と自由に対して、当たり前のことが書かれているにすぎないのです。

障害者権利条約は日本語訳で53ページ、条約ということで多少読みにくい表現になっていますので、気軽に読むには少しハードルは高いです。

それでも障害福祉の仕事に携わる方には読んでいただきたいですが、この記事では障害者権利条約の条文のポイントなど、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。

尚、条文についてはわかりやすくお伝えするために引用や一部要約をしたものを資料として掲載しております。

細かい言葉のニュアンスの違い等もあるかと思いますが、内容をイメージしやすくするためとご理解いただければ幸いです。

障害がある方の生活がみんなと平等で当たり前のことが当たり前に出来るために、ぜひ条約についての理解を深めていただければと思います。

日本が条約に批准したのは2014年

障害者権利条約は2006年12月に国連総会で採択され、日本は2007年9月に署名をしています。

署名の段階では日本は障害者権利条約に示されていることを守るという立場ではなく、条約があることを認めているぐらいの立ち位置です。

日本は障害者権利条約の批准に向けて国内の制度を改正したり、新しい法律を作る道を進みます。

ちなみに批准とは国として最終的に同意すること批准したということは、条約に沿って日本の取り組みを進めていくことになります。

障害者基本法の改定(2011年)

障害者総合支援法の成立(2012年)

障害医者差別解消法の成立(2013年)

といった法整備を経て、日本は2014年に障害者権利条約を批准しました。

前文だけで5ページ

前文は(a)~(y)までの25個に分けられて、条約の締約をした国はこうなっているだろうという期待の姿が書かれています。

前文だけで約5ページあるためすべてをご紹介できませんが、ポイントを挙げると

(e)障害が発展する概念であることを認め、また、障害が機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げる者によって生ずることを認め、

                              引用:障害者権利条約

と記載されています。

これは障害は個人の機能障害(足が動かない等)を指すのではなく、個人と社会環境の相互作用によって生まれることを示しています。

つまり足が動かない=障害ではなく、車いすなどの移動が困難な社会の現状が障害という結果を生むということです。
障害の考え方については↓こちらで解説していますので是非ご覧ください。

第1~5条 目的 等

条約の目的や定義などが記載されています。

この条約の目的は何より障害者があらゆる人権と自由が守られ、尊厳が尊重されることです。

この条約が作られたということは、現時点で障害者の人権と自由は守られず、尊厳も尊重されていない場面があるということ。

障害があるないに関わらず1人の人間として同じ権利や自由を持つことが大前提になります。

第4条では一般的義務として、締約国が約束すべきことが記載されています。

条約に従って行動すること以外に、障害者に対する差別になる現在ある法律や規則、慣習も含め修正もしくは廃止する措置をとることも示されています。

第6~10条 障害のある女子 等

第6条には障害のある女子について「障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識するもの」と示されています。

女性でさらに障害があるということで差別を受けているということを、そもそも認識するところからスタートすべきということですね。

第7条では障害のある児童について、児童の最善の利益や児童が自分の意見を表明する権利を持つことが明記されています。

日本でも近年こども基本法が作られており、合わせて理解しておくべき内容です。

こども基本法については↓こちらをご覧ください。

第8条では意識の向上について記載されており、日本語訳ではありますが「偏見及び有害な慣行と戦うこと」と強い表現になっています。

意識はすぐに向上するものではありません。向上するためには「戦う」というくらいの強い表現が必要ということだと思います。

第11~15条 危険な状況及び人道上の緊急事態 等

第12条では法律の前に等しく認められる権利について再確認することが記載されており、そもそも法律の前では誰しもが平等であるという当たり前のことが守られていない現状があるということがわかります。

第13条では法的手続き上の配慮が記載されていますが、障害があるが故に情報が届きにくかったり意思疎通がしにくかったりという現状があります。

それらに配慮した取り組みが求められており、日本でも「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」(いわゆる、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)が令和4年5月に施行されました。

↓こちらで解説していますので、合わせてごらんください。

第16~20条 搾取、暴力及び虐待からの自由 等

ここでも障害がある方の様々な権利について記載されていますが、第19条の生活についてはとても重要なポイントです。

どこで誰と生活するかを選択する自由が誰にでもあるはずですが、実際はいかがでしょうか?

福祉サービスは増え、また種類の広がってきていますが自分の選択で生活場所を選べていないケースも多いかと思います。

入所施設・グループホームがダメということではなく、自分で選択できていない現状が大きな課題です。

日本でもグループホームの形態についてなど障害がある方の生活についての議論は続いていますが、少しでも早く障害がある方がどこで誰と生活するかを選択できるようになることを願います。

第21~25条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会 等

第24条では教育について示されています。

教育についても平等な機会を得る、一般的な教育制度から排除されない、必要な合理的配慮が提供されるといったことが書かれています。

合理的配慮については↓こちらをご覧ください。

日本では障害がある子どもの教育は現状、特別支援学級・特別支援学校という専門の場所で行うことが基本となっております。

これが国際的には課題視されています。

実際に同じ地域に生活していても教室や学校が違うことで交流が少なくなり、障害そのものへの理解が進まずに偏見や差別につながってしまう可能性もあります。

また、教育分野における合理的配慮についての理解も促進していく必要性もあります。

教育は日本の将来を担う子どもたちにとって非常に大事なことです。様々な視点からの教育についての議論が必要だと感じます。

第26~30条 ハビリテーション及びリハビリテーション 等

第27条では障害がある方の労働や雇用についての権利が示されています。

日本で採用されている企業で一定の障害者を雇用する法定雇用率の制度ですが、ドイツやフランスでも採用されています。

就労継続支援A・Bや企業での障害者雇用などいろいろな形はありますが、障害があるイコール支えてもらう側ということではありません。

障害があるないではなく誰もが持っている強みを生かせる仕事を選べるような仕組みが求められるかと思います。

第30条の文化的な生活等への参加について日本では2018年6月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が公布、施行されました。

この法律では文化芸術を想像したり触れることは心の豊かさや相互理解をもたらすものとして、障害のある方もみんなと平等に文化芸術活動に参加できるよう推進するものです。

法律の中では障害福祉担当と文化行政担当が連携することも強く求められています。

第31~35条 統計及び資料の収集 等

第31条以降になると、権利条約内の委員会の仕組みや報告の仕方などの内容になってきます。

第35条には定期的な報告について示されています。

締約国は、権利条約にのっとった自国の取り組みを基本的には4年ごとに報告する必要があります。

その報告を受けて委員会から良く出来ているという評価や、勧告という実質上のダメだしを受けます。

日本は報告書を提出した上で2022年8月に初めて総括所見を受けました。その中では評価された取り組みもある反面、多くの改善勧告もありました。

福祉に携わる立場としては自国の取り組みが国際的にどのように評価を受けているかは確認しておくべきです。

第36~50条 報告の検討 等

第36条以降は条約の取り扱いや改正の仕方などの内容になりますのでまとめて紹介させていただきます。

上記資料を見て、効力についてや改正についてなどのざっくりとした内容をイメージしていただければと思います。

まとめ

障害者の権利を守るための国際条約「障害者権利条約」は、人間にとって当たり前の権利を障害者にとっても当たり前の権利として受けられるための条約です。

当然何か目新しいことが示されているわけでもなく、当たり前の権利が当たり前に示されています。

障害者の権利や自由を守るためにこういった条約が必要であるという現状、つまりは障害者の権利や自由が守られていない現状があるということををまず理解する。

そして、条約の内容を理解して国や地方自治体の取り組みが条約の内容に沿っているかどうか考え、議論していくことが大切です。

しょーなり
しょーなり

権利条約が形だけにならないために自分たちの身近な生活に関係する問題として、みんなで考えていきましょう。

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