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障害福祉サービス【実地指導】で引っかかるポイント解説 当日までの流れも紹介

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実地指導という言葉を聞くと、ビクッとする事業所の方もいるのではないでしょうか?

チェックを受ける事業所の立場で言えば、あまり良いイメージでは無いかもしれません。

しかし実地指導は福祉事業を行っているうえでは、避けられないもの。

また、実地指導を受けることで大きな間違いになる前に修正できる良さもあります。

しょーなり
しょーなり

20年以上福祉サービスにたずさわり、実地指導にも何十回と対応している僕から見た実地指導で引っかかるポイントを解説します。

実地指導のイメージをつかんでいただいて、日ごろの業務にも活かしていただければと思います。

この記事の結論

実地指導で引っかかるポイントはヒト・カネ・カミの3つ

日頃から法令を遵守して利用者のための支援を行う事が大切。

実地指導当日はごまかさずに素直に対応しよう

1.指導には2種類ある

出典:厚労省HP

行政が行う指導には2種類あります。

集団指導全ての障害福祉事業所を対象に行う。講習会形式。
実地指導個別に事業所を訪問してサービスの提供に関する書類の精査や関係者からの聞き取りを行う

集団指導は毎年行われるもので事業所運営において注意すべきポイント等、行政から説明があります。

集団指導は事業所向けに講義のような形で知らせる機会なので、特に注意すべきポイントはありません。内容を理解して、事業所運営の改善につなげます。

しょーなり
しょーなり

皆さん気になるのは指導のもう1種類、実地指導ですよね。

また、著しい不当が疑われたり行政処分の事由に該当すると認められる場合は指導ではなく「監査」が行われます。

上の図にもあるように、実地指導から不正が発覚して監査に変更することもあります。

2.引っかかるポイントはヒト・カネ・カミの3つ

実地指導で引っかかるポイントは沢山ありますが、大きく分けるとヒトカネカミ3つです。

「カミ」は、3つのポイントを語呂良く並べるための僕なりの表現ですので、やや無理やりですがご容赦ください。

それぞれのポイントについて解説します。

ヒト

ヒトはサービスを提供するスタッフに関係するポイントで、例を挙げると

決められた人数より、人が少ない

必要な資格を持ったスタッフがいない

スタッフに対して労働条件を書面で通知していない

スタッフの健康診断を行った記録が無い

必要な研修の機会を提供していない  等

サービスの土台となるスタッフの存在はとても重要で、制度の中でも人員配置基準や資格要件は明確に決められています。

利用者の受け入れ人数によって必要なスタッフ数も変化します。

出来るだけ多くの利用者を受け入れていたら、いつの間にか人員基準を満たしていなかったなんてことも考えられます。

受け入れる利用者数と必要なスタッフ数は常に把握しておきましょう。

自己チェックの例

・事業に必要な資格保持者(資格証)

・サービス提供と加算に必要なスタッフ数(勤務表)

・スタッフの雇用に関する書類(労働条件通知書、健康診断記録等)

・研修を行った記録(研修計画、研修記録、復命書等)

カネ

カネは基本報酬や加算の請求に関するポイントで、要件を満たしていないのに報酬をもらっているということです。

例を挙げると

サービスを提供していないのに報酬を請求している

定員超過やサビ管不在などがあっても減算していない

加算をもらうために必要な支援・記録を行っていない

請求書や代理受領通知書等を利用者に交付していない

根拠のない実費負担を請求している        等

報酬をもらうために要件を守ることは当然ですが、サービスを提供した記録等も大切です。記録が無いとサービスを提供した証明ができません。

お金に関わる部分は透明性が大切です。

どんな支援をして、どんな請求をしたかが後からでもしっかり確認できるようにしておきましょう。

自己チェックの例

・サービスを提供した実績(実績記録表)

・利用者に請求している内容(請求書、領収書、代理受領書)

・サービスを提供した記録(サービス提供記録、欠席時加算用記録)

・実費負担額の根拠(費用の領収書)

カミ

実地指導は現場の確認以外はほぼ書面を確認して行われるので、「全て紙でしょ」と言われればその通りですが・・・そんなツッコミは置いといて。

ここで言うカミとは、契約書や運営規程等の書類や個別支援計画等のことを指します。

例を挙げると

運営規程と重要事項等の内容にズレがある

個別支援計画が正しい手順で作成されていない

個別支援計画に同意や公布の署名・押印が無い

緊急時対応マニュアル等必要なマニュアルがない

運営規程や重要事項説明書の掲示がされていない

実地指導で最も指摘されやすいポイントがこのカミです。  

BCP(事業継続計画)や身体拘束適正化のための指針など求められるものも増え、必要書類は膨大にあります。書類を準備するだけでも大変ですが、求められている理由も理解して1つ1つ確認しましょう。

自己チェックの例

・契約関係書類の必要項目の記載と整合性(運営規程、契約書、重要事項説明書)

・個別支援計画の手順に沿った作成(会議の記録、個別支援計画)

・マニュアルの整備(感染症、緊急時、消防計画 等)

・会議の記録(虐待防止、身体拘束適正化 等)

・掲示物(運営規程、重要事項説明書、指定決定通知 等)

3.はじまりは通知から

地域によって違いはあるかと思いますが、僕が経験してきた実地指導の流れをご紹介します。

大まかな流れは上記の通りとなります。  

スケジュール感や担当者の人数等は、僕の経験からの目安となっています。

県もしくは市町村規模等によっても変わります。

あくまで参考としてとらえていただければ幸いです。  

実地指導の通知が来て慌てて書類の準備をするという事業所も少なくないかと思いますが、限られた日数での準備は困難さも増します。

出来る限り日々の業務の中で整理、確認できるようにしましょう。

4.ごまかそうとしない事が大切

実地指導の大半は、指摘されたことを改善すれば問題ありません。

「指摘されそうだ、ごまかそう」と考えて事実を捻じ曲げることで、虚偽報告にもつながってしまいます。

また、実地指導当日にスムーズな対応をせず時間をかければ、全て見られないのではないか?と考える方もいますが、当日確認できない書類は後ほど提出してくれと言われることもあります。

元から行政をだまして報酬を受け取ろうとしている事業所は論外ですが、日頃から法令を守って利用者のための事業所運営を行っている事業所はそこまで大きな指摘につながらないことがほとんどです。

必要以上に怖がらず、実情を見てもらって指摘されたところを改善するという素直な気持ちが大切です。     

5.重箱の隅をつつくような指摘もある

長い間実地指導の対応をしていると、「なんだこの担当者は!?」と思わずイラっとしてしまうこともあります。

わざわざ粗を探そうとしたり、可能性の低いリスクの話ばかりしてきたりと。

最初はイライラしてしまっていましたが、最近は何も感じなくなりました。

それは「実地指導の担当者は指導することが仕事であり、何も指導しないでは帰りにくい」とわかったからです。

「忙しい中わざわざ実地指導に来て、何も指摘・指導せずに帰れば仕事をしていないと思われるかもしれない。」担当者にはそんな考えもあります。

なので、重箱の隅をつつくような指摘があったとしてもムキになって反論せず、「それぐらいしか指摘することが無いんだな」と胸を張っていたら良いと思います。

実地指導でチェックする部分はもちろん決まっていますが、担当者によって突っ込むポイントが変わる事も正直多いです。

6.改善部分を日常業務に落とし込むまでが実地指導

実地指導の対応は、常に不安が付きまといます。

僕もいくら事前に綿密に準備をしても「見落としは無いか?」と終わるまでずっと不安を感じています。

そのため実地指導が終了すると、その張りつめていた気持ちが一気に開放されます。

解放されると、「ようやく終わった、さあ後回しにしていた仕事をしよう」と他の仕事に目が向きがちです。

しかし、注意しなければいけないのは今回の実地指導の指摘事項を事業運営にしっかりと活かすということです。

実地指導では前回の指摘事項がしっかりと改善されているかも見られます。

同じことの指摘を受ければ、指摘しても報告書だけで実際は改善しない事業所だと思われてしまいます。

指摘を受けた内容を再度指摘されないように、改善部分を日常業務に落とし込むまでが実地指導と考えて下さい。

まとめ

実地指導は事業運営の確認の機会です。

福祉制度も複雑化しており、全てを完璧に網羅して対応することは困難でもあります。

それでも日頃から法令遵守しながら利用者のための事業所運営を行うこと、そしてごまかさずに素直に対応することを意識して事業運営を行っていただければと思います。

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