今回の記事では障害支援区分についてわかりやすく解説するとともに、区分を判定する際に受ける認定調査で大切にしたい考え方もお伝えします
この考え方を知っているか知らないかで、認定調査の受け方も変わり、その先の適切な区分の判定につながるかどうかが大きく変わってきます。
ぜひ知っておいてくださいね。
1.障害支援区分って何?
障害支援区分は
「障害の多様な特性その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すもの」と定義されています。
a.障害者福祉サービスを利用するために障害支援区分が必要
障害者福祉サービスの中でも、「介護給付」に分類されるサービスを利用するために障害支援区分が必要となっています。
「訓練等給付」に分類されるサービスは区分の認定がなくても利用することができます。
訓練等給付と介護給付に当たるサービスについては下記をご覧ください。
なお、障害児サービスを使う際にはこういった支援区分と言われるものはありません。(一部のサービスで報酬を決めるための区分は存在します)
b.区分の段階
障害支援区分は非該当から区分1〜6までの段階があります。
非該当が支援の度合いが低く、区分6が最も支援の度合いが高い区分です。
c.区分で使えるサービスが変わる
区分がないとサービスが使えないだけでなく、区分によって使えるサービスが変わるんです。
また事業所の立場で言えば、区分によってもらえる報酬も変わります。
区分によって使えるサービスが変わるのは下記の図をご覧ください。
2.区分を決めるステップ
区分は1次判定と2次判定を経て認定されます。
1次判定
認定調査員という方が、訪問して本人や保護者、支援者等に対して聞き取りを行い項目に対して必要な支援の度合いを確認します。
聞き取りを行う項目は以下の80項目です。
聞き取りをした項目に、医師の意見書を加えコンピューターでの1次判定を行います。
2次判定
コンピューターで出した1次判定の結果をもとに2次判定を受けます。
各市町村には審査会が設置されており、その審査会の中で項目に直接反映されにくい特記事項や医師の意見書の内容をもとに、一次判定の認定が正しいかどうかの検討を行います。
3.認定調査をうける上で知っておきたいこと
障害支援区分は「障害の重さと必要となる支援の量はイコールではない」ということが基本原則とされています。
障害の重さに着目するのではなく、その人個人にどのくらいの支援が必要なのかに着目して判定するのが支援区分です。
a.できたりできなかったりする場合は「できない状況」に基づき判断
生活の中ではいろいろな場面があり、さらに毎日が同じ状況というわけではないため、項目に対して、出来るか出来ないかの回答に迷ってしまうこともあるかもしれません。
そういったとき認定調査では「できない状況に基づいて判断する」とされています。
なお、「できない状況」に基づく判断は、運動機能の低下ということだけでなく、
意欲の低下や多動、慣れていない状況や初めての場所などによる「できない状況」も含めて判断するとされています。
運動機能だけでは見えない、支援や配慮の必要性もきちんとお伝えできると正しい判定につながるかと思います。
b.支援を受けていない状態を想定する
日常の生活をする中で、障害がある方に配慮した環境になっているかと思います。
また、一つ一つは小さいかもしれませんが、少しの支援が積み重なって安定した生活につながっていることも多いのではないでしょうか?
認定調査はその配慮や支援が行われていない状態を想定して行うものです。
「今の環境、今の支援体制、それらが無くなったときに今と同じ行動ができるのかどうか」も考えてみることも必要です。
c.項目だけじゃない。特記事項も大切
聞き取りを行う項目は80項目とかなり多く、認定調査を受けるだけで疲れてしまうと思いますが、障害がある方の状態や支援については80項目内で収まることができないことも多くあると思います。
認定調査には特記事項を記載しておく欄があります。
どこの項目に当てはまるかわからないけど、特性や必要な支援があるという場合はできるだけ細かくお伝えするようにしましょう。
その特記事項は、1次判定のコンピューター判定では反映されない支援の必要性を審査会の2次判定で話し合うために大事な材料となります。
項目に沿って聞かれたことだけでは見えない、支援の必要性がきっとあると思いますので気になることは色々と話してみてくださいね。
d.区分の有効期限
認定された区分には有効期限が決まっています(基本的には3年)。年数がたつことで障害に基づく支援の必要性も変化しますので、定期的な区分の更新が必要となります。
e.区分に納得がいかない時
市区町村が行った区分判定や障害福祉サービスの支給決定などの内容に不服がある場合は、都道府県ごとに設置されている「障害者介護給付費等不服審査会」に不服申立(審査請求)を行うことができます。
区分が判定されてもそれで終わりということではないですが、一度正式な流れを経て決まった区分を変更することはエネルギーを使う作業です。
丁寧なやり取りを心がけ、不服申立てをしなければいけない状態にならないようにすることが理想だと思います。
まとめ
障害支援区分と区分を判定するための認定調査について解説させていただきました。
区分によって受けられる支援が変わるという面もありますが、
区分は重いほうがいいということではなく、
大切なことは「その方に必要な支援が受けられる区分に、適正に認定される」
ということです。
そのためには障害支援区分や認定調査について正しく理解して、適切な区分判定という目標に向けて認定調査員とお互いに敬意を持って向かい合っていく事が必要かと思います。
障害支援区分と認定調査について理解して、個人に合った支援につなげていきましょう。