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福祉事業所における障害者虐待の主な要因TOP5を対策と合わせてご紹介

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障害者への虐待を防止するために障害者虐待防止法が平成24年に施行されてから、障害者福祉施設従事者による障害者虐待の件数は上昇し続けています。

令和3年度都道府県・市町村における虐待防止事例への対応状況等(調査結果)にて公表されておりますが、↓こちらで詳しく解説してます。是非ご覧ください。

障害がある方の権利を守り、支援をする立場である福祉事業所のスタッフが虐待に至ってしまうのはなぜなのか?

虐待対応状況調査に示されている要因にそって、その対策を考えてみたいと思います。

1.虐待の主な発生要因5つ

年度ごとに市町村等の障害者虐待対応状況は調査され、結果が公表されています。

調査結果の中には、「市町村等職員が判断した虐待の発生要因」という項目があり、市町村等職員が実際に対応した虐待事例の発生要因を判断して回答しています。

令和3年度の発生要因を表にしたものが下記になります。

志ちぃおうそん等職員が判断した虐待の発生要因(複数回答あり)令和3年度
教育・知識・介護技術等に関する問題64.5%
職員のストレスや感情コントロールの問題54.8%
倫理観や理念の欠如50%
虐待を助長する組織風土や職員間の関係性の悪さ22%
人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ24.7%

a)教育・知識・介護技術等に関する問題

発生要因の中で最も要因として多いと判断されているのがこの項目です。

「専門的な支援技術を身に着けていない」「障害特性について理解が足りない」などが考えられますが簡単に言えば、

支援スキルが足りないために適切な支援方法が分からず、障害がある方を力づく等で言うことを聞かせるということです。

【対策】
定期的なケース会議の実施
定期的なアセスメントの実施
外部研修への参加と、研修内容の内部周知

これらの対策が考えられますが、大切なことは定期的なアセスメント支援方法のアップロードです。

支援する方を知らずに適切な支援はできません。支援に悩んだらまずはアセスメントに立ち返るようにしましょう。

また、支援方法は試行錯誤しながら常にアップデートしていくものです。もっと良い支援はないのか?と常に疑問を持ち、新たな支援の方向性を模索することが必要です。

b)職員のストレスや感情コントロールの問題

続いての要因は職員の感情コントロールに関する要因です。

この問題は障害がある方の言動にカッとなって、もしくはイライラして威圧的や攻撃的な対応を取ってしまうということです。

対人援助職である障害福祉の仕事は感情労働に分類されます。

※感情労働とは顧客の精神を特別な状態に導くために、自分の感情を誘発、または抑圧することを職務にする、精神と感情の協調が必要な労働のこと

障害がある方への支援は、うまく行かないことが多いです。場合によっては心無いことを言われたり、暴れている方に対して身を呈して対応しなければいけないこともあります。

そんな中で支援者は自分の心に芽生える感情をうまくコントロールして対応することが求められます。

【対策】
アンガーマネジメントを学ぶ
チームで支援する体制の構築
個別支援計画に沿った統一した支援

自分の感情をコントロールする方法を学ぶことは非常に大切ですが、それ以上に大切なのはチームで支援を行うということです。

いくら感情をコントロールできても、長期間に渡って負担を感じていたら疲弊してしまいます。

大変だったり辛かったらフォローし会えるチームづくりを行うことで、支援者の心にゆとりが生まれます。

統一した支援については↓こちらをご覧ください。

c)倫理観や理念の欠如

倫理観や理念の欠如は支援者として根本的な課題と言えます。

そもそも障害について理解できていないからです。

障害は個人の状態と社会のあり方のミスマッチで起こるものです。

障害については↓こちらをご覧ください

こういった考え方をきちんと理解できておらず、障害者を見下して自分より劣った存在として見てしまうということです。

【対策】
「障害」について正しく理解できる機会を持つ
障害者権利条約や虐待防止法、エンパワメント等の理解を深める
相手の立場になって考える

人権についての理解なども非常に大切ですが、支援者として考えていただきたいのは「自分にとって大切な存在(親・こども・恋人・友人等)に対しても同じ対応をするか?」ということです。

目の前の障害がある方を、一人の人間として尊重する。それができないのであれば、支援者ではありません。

障害福祉の仕事に携わる上で必要な「理念」ついては↓こちらで触れています。

障害者虐待防止法については↓こちらをご覧ください。

エンパワメントについては↓こちらをご覧ください.

d)虐待を助長する組織風土や職員間の関係性の悪さ

支援は一人で行うものではありません。だからこそ虐待もチームで、組織で防ぐものです。

この要因はチームづくりや組織としての文化が課題と言えます。

組織として虐待は絶対に許さないという体制が取れておらず、スタッフ間でも言いたいことが言えないということが考えられます。

【対策】
組織として虐待は許さないという指針を明確に示す
言いたいことを言い合えるチームづくりを行う
ボランティアや実習生など、外部の方を多く施設に入れて見られている意識を高める

組織としての指針を示すことは絶対条件ですが、虐待を防ぐには支援に当たっている現場スタッフの関係性は非常に大切です。

これまでの虐待事例を見ても、ベテランスタッフが虐待に当たる行為をしていても指摘できないまま重大な虐待につながるケースも多いです。

虐待は突然ある日に起こるものではありません。

「あの支援はどうなんだろう?」、「声掛けが荒いな」という小さな虐待の芽が放置されることで虐待につながります。今日の支援を振り返って、より良い支援のためにスタッフ同士で話し合うというチームづくりが大切です。

e)人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ

最後はスタッフの負担の大きさからくる虐待発生要因です。

現在どの分野においても人材不足は大きな課題だと思いますが、福祉の分野においても常に人材不足の課題は深刻で、人を雇用したくても集まらないという悩みを持った法人も多いです。

ICTなどで業務効率化が推進されていますが、丁寧な支援には人手がかかることも間違いないことです。

人手が足りずなんとか対応することで手一杯で、適切な支援を考えることも提供することもできないということが考えられます。

【対策】
人材確保対策(採用・定着)の検討・実施
ICT等を実施して業務を効率化させる
業務整理を行う

人員の問題はすぐに解決できる課題ではありませんが、そのような状態になった時組織としてすべきことは、やるべき業務とやらなくていい業務を明確にすることです。

現在の現場の状況を把握した上で業務に優先順位をつけ、やらなくていい業務を組織として決定します。

障害福祉の現場におけるICTの活用については↓こちらをご覧ください。

2.最も有効な虐待防止対策は「より良い支援を追い求めること」

これまでに考えてきた要因はすべてが相互に関係し合っているものです。また、挙げられた要因以外の要因も数多くあります。

ぜひ覚えておいてほしいこととして

「より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる」というクオリティーインプルーブメント(QI)の考え方です

リクスマネジメントで使われる考え方ですが、虐待についても同じです。

そもそも障害がある方に対して出来る限り質の高いサービスを提供しようとすれば、自然と虐待に繋がる要因は排除されていきます。

「虐待が起きないように・・・」と考えるより、「自分の仕事に誇りをもって出来る限りの支援を提供しよう」と考える方が仕事にやりがいも持てるのではないでしょうか?

つまり虐待を防ぐ一番の方法は

「質の高い支援を提供するために、組織としても支援者としても、より良い支援を求めること」です。

まとめ

障害福祉事業所で虐待が起こる主な要因5つと対策も含めてご紹介させていただきました。

まとめると

a)教育・知識・介護技術等に関する問題
 【対策】定期的なアセスメント&支援方法のアップロード
b)職員のストレスや感情コントロールの問題
 【対策】チームで支援を行う
c)倫理観や理念の欠如
 【対策】「自分にとって大切な存在(親・こども・恋人等)に対しても同じ対応をするか?」を考える
D)虐待を助長する組織風土や職員間の関係性の悪さ
 【対策】支援を振り返って、より良い支援のためにスタッフ同士で話し合うというチームづくり
e)人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ
 【対策】やるべき業務とやらなくていい業務を明確にする

上記のようになります。

そして、何より大切なのは「より質の高いサービスを提供することによって多くの事故が未然に回避できる」というクオリティーインプルーブメント(QI)の考え方を理解して、「質の高い支援を提供するために、組織としても支援者としても、より良い支援を求めること」です。 

障害者の権利を守るべき障害福祉事業所において、虐待が起きないように皆で考え、行動していきましょう。

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