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「しょうがい」の表記に関する考え方 「障害」・「障がい」・「障碍」 どれを選びますか?

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コンセプト
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「しょうがい」っていろいろな表記をされているけど、どれが正しいの?

どの表記を使ったらいいのかな?

「しょうがい」の表記はバラつきがあると皆様も感じることが多いのではないでしょうか?

もちろん理由があって違いが生まれているのですが、どんな表記をするにしてもそれぞれの表記が持つ意図を理解することが大切です。

今回は、少し前になりますが平成22年に「障害の表記に関する作業チーム」で話し合われた内容をご紹介します。

いろいろな視点からの意見を見て、皆様が考えるきっかけになればと思います。

この記事で学べる事

「しょうがい」の表記、それぞれの意図

1.それぞれの表記への肯定的・否定的意見

会議の中で各関係団体やマスメディア、地方公共団体などへヒアリングと一般からの意見募集を行っています。

それぞれの意見を肯定的意見否定的意見×に分けて紹介します。(意見は一部です)

「障害(者)」

・障害者権利条約でも「障害」は個人の属性ではなく社会との相互作用によって生じるものと示している。社会にある多くの障害物や障壁こそが「障害者」を作り出してきた。社会モデルの考え方からすると「障害」の表記が適当。(障害者団体)

・表記の問題より、取り巻く差別や偏見を取り除くことが先決。(一般意見)

・イメージでの議論が先行しすぎている。(一般意見)

・「害」は、公害や害悪、害虫の害であり、当事者の存在を害であろうとする社会の価値観を助長してきた。(障害者団体)

・「害」には語源的にも人を殺めるという意味があり不適切。(精神障害関連法人)

「害」が示しているものについてや、直接的なイメージの悪さについての意見が挙げられています。

ちなみに社会モデルとは、「障害」は社会(モノ、環境、人的環境等)と個人の心身機能等があいまって作りだされているものであり、その障壁を取り除くのは社会の責務であるとし、社会全体の問題として捉える考え方です。

反対に医学モデルは障害は個人における身体等の機能の問題として捉える考え方です。

今は社会モデルに基づいて障害について考えることが中心になっています。

「障碍(者)」

・「碍」はカベを意味する言葉。社会の「カベ」、そして当事者自らの中にも「カベ」に立ち向かうべき意識改革の課題があるという観点を踏まえ「碍」の児を使うように提唱してきた。(障害者団体)

・中国、韓国、台湾など漢字圏において「しょうがい」は、「障碍」又は「障礙」と表記される。東アジアの漢字圏においてリーダーシップを発揮する場合に備えて「障碍」に改めておくべき。(精神障害関連法人)

・「碍」については、使用頻度が低い上に、造語力も低いことから、一 般国民が情報社会においてどのような漢字を使うべきかの目安となる 常用漢字に入れる必要はない。(マスメディア)

・表記を変更したところで、「障」=「さわり」、「碍」=さまたげであって、 漢字の持つ負のイメージに変わりはない。(一般意見)

もともと「碍」の字が使われる頻度が少ないことで、なじみが薄い点なども挙げられています。

「障がい(者)」

・「害」の字を使うことについての負のイメージが強く見直してほしいとの意見あり、「障がい」の表記自体を否定する意見は無かったため変更を行った。(地方公共団体)

・「障害」という言葉が持つ負のイメージに対する問題意識を鑑みて、地方公共団体等が「障がい」の記載としているのを参考に起業としても「障がい」表記を変更した。(企業)

・柔らかい印象があり、点字を利用している人でも書くことが出来る。(一般意見)

・社会モデルへの転換を示した会議で、個人モデルに基づく「障がい」という表記は採用すべきではない。(障害者団体)

・「障がい」では実態が見えない。障がいの社会性を曖昧にする。(一般意見)

「害」よりも柔らかいというイメージで否定されにくい表記ですが、本来の意味合いから外れてしまうという意見も多く見られます。

企業や市町村などはイメージの悪さを払拭するために「障がい」にするという判断が多いようです。

2.世論調査

出典:「障害者に関する世論調査」の概要 平成29年9月 内閣府政府広報室

こちらは平成29年に行った世論調査の中で行われた「障がいの表記」についての意見です。

イメージ的に柔らかい「障がい」の表記が最も多く40%程度となっています。

それに次いで「障害」の表記が31.6%。

「障碍」はやはり使用頻度が低いせいか2.5%にとどまっています。

平成24年に行った世論調査よりも、「障害」の割合が増えています。

「害」の字が何を表しているのかという認識が、少しづつ広まってきているのかもしれません。

3.そのほかの表現や議論についての意見

「障害の表記に関する作業チーム」の中では、「しょうがい」に対する表記の違いだけでなく、「しょうがい」以外の表現も挙げられています。

また、議論そのものについての意見も挙がっていますので、併せてご紹介します。

・「障害に負けることなく、社会進出をしていこうとする人たち」という「障害者」に代わる前向きかつ可能性を示唆する表現として「チャレンジド」を推奨。(企業)

・「健常者」とその対向にある「しょうがいしゃ」という固定的な言い方はやめ、お互いが「支援し支援される」立場になりうるという考え方のもと、互いに支え合う社会を目指すため「要支援者」という言い方はどうか。(マスメディア)

・当面は、障害者制度改革を推進し、社会の在り方を医学モデルから社会モデルへと転換することに時間を費やすべきであり、「障害」の表記については将来的な課題とすべきではないか。(障害者団体)

・時代が大きくかわろうとしている今、様々な価値観による様々な呼称が自由に使われて当然であり、国家がそれを統一することは避けるべきだと思う。(チャレンジド就労促進団体)  

4.検討結果

「障害の表記に関する作業チーム」で検討した結論として

国として統一はせず法令等は現状の「障害」を使用となりました。

その理由としては

いろいろな団体や企業がそれぞれの考えに基づいて「しょうがい」について表記しているので、法令等の表記を現時点で特定のものに決定するのが難しい。

そのため今後も当事者の希望に配慮しつつ、障害は様々な障壁との相互作用によって生ずるものであるという障害者権利条約の考え方を念頭に置き、検討を続けていくということになっています。

5.まとめ

いろいろな表記に対する意見をご覧になっていかがでしたでしょうか?

様々な意見がありますが、大切なのは「自分はどう思うか」です。

しょーなり
しょーなり

ちなみにこのブログでの表記は「障害」とさせていただいています。

それは、僕が「障害」はあくまでその人個人の問題ではなく社会との相互作用によって生まれる障壁だと感じているため、社会的な障壁をあいまいにしないという意味で「障害」と表記しています。

皆様にとって腑に落ちる「しょうがい」の表記、又は違った表現はなんでしょうか?

考えるきっかけになれば幸いです。

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