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【完全解説】虐待防止措置未実施減算・身体拘束廃止未実施減算 障害福祉事業所に必要な対応まとめ 

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令和6年4月の報酬改定で、身体拘束廃止未実施減算の見直しに加え、虐待防止措置未実施減算が新設されました。

障害福祉事業所において虐待防止に向けた取り組みは欠かせないものではありますが、取り組みは多岐にわたっています。

ここでは運営基準や留意事項等の内容を整理しながら、福祉事業所に求められる取組を解説します。

減算にならないために、そして虐待の発生を防ぐために理解を深めましょう。

しょーなり
しょーなり

この記事は国から出されている資料をわかりやすくまとめた内容となっておりますが、実際の報酬算定等につきましては管轄である都道府県や市町村へ確認頂きますようお願いいたします。

1.求められる措置の概要

出典:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容

虐待防止措置、身体拘束適正化それぞれに求められる措置についてはこちらの資料に概要が記載されています。

まずは概要としてこれらの内容をご理解ください。

虐待防止措置は令和6年4月から新設

身体拘束廃止未実施減算は減算額の見直しがされています。

しょーなり
しょーなり

障害者虐待の現状として、入所施設やグループホームなどの事業所で虐待割合が高いことがこの減算額に影響していると思われます。

障害者虐待の現状については⇩こちらで解説しています。合わせてご覧ください。

2.虐待防止措置未実施減算の内容と対応

まずは新設された虐待防止措置未実施減算で求められる取組について整理していきます。

①虐待防止委員会を定期的に開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底を図ること

②従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること

③上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

求められる取組は上記の3点です。1つずつ解説します。

①虐待防止委員会を定期的に開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底を図ること

虐待防止委員会の開催について運営基準や留意事項に記載されている内容は以下の通りです。


  • 虐待防止委員会は1年に1回以上開催
  • 事業所単位ではなく、法人単位での設置・開催可能
  • 委員会の記録は5年間の保存が必要
  • オンラインを活用した開催も可能 ただし、障害のある者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。なお、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を遵守すること。
  • 虐待防止委員会の開催に必要となる人数については事業所の管理者や虐待防止担当者(必置)が参画していれば最低人数は問わない
  • 虐待防止委員会の構成員には、利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者等も加えることが望ましい
  • 身体拘束適正化検討委員会と一体的に設置・運営すること(虐待防止委員会において、身体拘束等の適正化について検討する場合も含む。)をもって、当該委員会を開催しているとみなして差し支えない。

しょーなり
しょーなり

また、委員会の結果を従業者に周知徹底することについては虐待の防止のための対策について、事業所全体で情報共有し、今後の未然防止、再発防止につなげることが目的です。

決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要と記載されています。

虐待防止委員会の対応としては下記のように記載されています。

具体的には、次のような対応が想定されています。 
ア 虐待(不適切な対応事例も含む。)が発生した場合、当該事案について報告するための様式を整備すること。
イ 従業者は、虐待の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、虐待について報告すること。
ウ 虐待防止委員会において、イにより報告された事例を集計し、 分析すること。
エ 事例の分析に当たっては、虐待の発生時の状況等を分析し、虐待の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の再発防止策を検討すること。
オ 労働環境・条件について確認するための様式を整備するとともに、当該様式に従い作成された内容を集計、報告し、分析すること。
カ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
キ 再発防止策を講じた後に、その効果について検証すること。
引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)【新旧対照表】

また、事業所は次のような項目を定めた「虐待防止のための指針」を作成することが望ましいことが記載されています。

ア 事業所における虐待防止に関する基本的な考え方 
イ 虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項
ウ 虐待防止のための職員研修に関する基本方針
エ 施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針
オ 虐待発生時の対応に関する基本方針
カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
キ その他虐待防止の適正化の推進のために必要な基本方針
引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)【新旧対照表】

②従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること

虐待防止のための研修については以下の通りです。


  • 定期的(年1回以上)な研修の実施
  • 新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが重要
  • 研修の実施内容についての記録が必要
  • 事業所内で行う職員研修でOK

a.効果的と考えられるポイント

また、「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」には虐待防止のための研修について効果的と考えられるポイントがまとめられています。

① 虐待防止等に関する研修情報を行政機関や基幹相談支援センター等から収集し、それらの機関が実施する研修機会を積極的に活用する。 ※解釈通知では、「研修の実施は、施設内で行う職員研修及び協議会又は基幹相談支援センター等が実施する研修に事業所が参加した場合でも差し支えない。」 とされています。 
② 域内で積極的に虐待防止等に関する研修を行っている大規模な事業所や法人等があれば、当該事業所が開催する合同研修に参加する。
③ 研修に参加できなかった職員に対しては、研修を録画し、その視聴を促したり、 研修の参加者が所内で研修に参加できなかった職員への伝達研修を実施したりする。あるいは外部研修をもとに事業所内で研修を実施する。
引用:障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き

b.研修の種類

同じく「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」には実施する研修の種類についても記載されています。

研修を実施するうえで参考にしてください。

① 管理職を含めた職員全体を対象にした虐待防止や人権意識を高めるための研修

(例) 

・基本的な職業倫理 

・倫理綱領、行動指針、掲示物の周知(虐待防止の委員会で検討された内容を含めて) 

・障害者虐待防止法等関係法律や通知、指定基準等の理解 

・障害当事者や家族の思いを聞くための講演会 

・過去の虐待事件の事例を知る 等 

② 職員のメンタルヘルスのための研修 

(例)

・アンガーコントロール 等

③ 障害特性を理解し適切に支援が出来るような知識と技術を獲得するための研修 

(例) 

・障害や精神的な疾患等の正しい理解 

・行動障害の背景、理由を理解するアセスメントの技法 ・自閉症の支援手法(視覚化、構造化等) 

・身体拘束、行動制限の廃止 ・服薬調整 ・他の障害者福祉施設等の見学や経験交流 等 

④ 事例検討

(例)

・スーパーバイザーや外部の専門家からの助言

⑤ 利用者や家族等を対象にした研修 

(例)

・どのような行為が虐待にあたるか

・虐待に遭いそうになった場合の対応

・どのように相談したらいいか

「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」については⇩こちらをご覧ください

③上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

運営基準において担当者は下記のように記載されています。

 同条第3号の虐待防止のための担当者については、サービス提供責任者等を配置すること。 
なお、当該担当者及び管理者は、「地域生活支援事業の実施について」(平成18年8月1日障発第0801002号)の別紙2「地域生活支援促進事業実施要綱」の別記2-4の3(3)の都道府県が行う研修に参加することが望ましい。
引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)【新旧対照表】

法人の虐待防止体制にもよりますが、支援の中核を担うサービス提供責任者・サービス管理責任者・児童発達管理責任者等に役割が望まれています。

また、担当者は県などが開催する研修にもしっかりと参加することが望ましいと合わせて記載されています。

3.身体拘束廃止未実施減算の内容と対応

続いて、身体拘束廃止未実施減算についてです。

こちらは減算額の修正はありましたが、求められる取組内容の変更はありません。

①やむを得ず身体拘束等を行う場合、その態様及び時間、利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録すること。 

②身体拘束適正化検討委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図ること。 

③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。 

④従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること。

これら4つの取り組みが必要となります。

こちらも1つずつ解説していきます。

①やむを得ず身体拘束等を行う場合、その態様及び時間、利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録すること

やむを得ない理由は

  • 切迫性
  • 一時性
  • 非代替性

の3つを全て満たしていることが必要です。

また、やむを得ない理由があって身体拘束が必要と判断するために組織としてどのような検討を行ったかの記録も重要となります。

実際に身体拘束を行ったときの記録も必要です。

身体拘束については⇩こちらで詳しく説明しておりますので、合わせてご覧ください。

②身体拘束適正化検討委員会を定期的に開催し、その結果について従業者に周知徹底を図ること

この内容については虐待防止委員会の内容とほぼ同様です。


  • 身体拘束適正化検討委員会は1年に1回以上開催
  • 事業所単位ではなく、法人単位での設置・開催可能
  • 委員会の記録は5年間の保存が必要
  • 委員会は事業所に従事する幅広い職種で構成。
  • 構成員の責務及び役割分担を明確にして、選任の身体拘束等の対応策を担当するものを決めておくことが必要。
  • 委員会は第三者や専門家の活用に努める(医師、看護職員等)
  • オンラインを活用した開催も可能ただし、障害のある者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。なお、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を遵守すること。
  • 虐待防止委員会と一体的に設置・運営すること(身体拘束適正化検討委員会において、虐待防止について検討する場合も含む。)をもって、当該委員会を開催しているとみなして差し支えない。

身体拘束適正化検討委員会の内容については、運営基準に下記のように記載されています。

身体拘束適正化検討委員会における具体的な対応は、次のようなことを想定している。
ア 身体拘束等について報告するための様式を整備すること。
イ 従業者は、身体拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録する とともに、アの様式に従い、身体拘束等について報告すること。
ウ 身体拘束適正化検討委員会において、イにより報告された事例を 集計し、分析すること。なお、イにより報告された事例がない場合にも、身体拘束等の未然防止の観点から、利用者に対する支援の状 況等を確認することが必要である。
エ 事例の分析に当たっては、身体拘束等の発生時の状況等を分析し、身体拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正 性と廃止へ向けた方策を検討すること。
オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
カ 廃止へ向けた方策を講じた後に、その効果について検証するこ と。
引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)【新旧対照表】

③身体拘束等の適正化のための指針を整備すること

身体拘束適正化のための指針の作成が求められており、盛り込む内容は下記の通りです。

同条同項第2号の指定居宅介護事業所が整備する「身体拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
イ 身体拘束適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ウ 身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
エ 事業所内で発生した身体拘束等の報告方法等の方策に関する基本方針
オ 身体拘束等発生時の対応に関する基本方針
カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
キ その他身体拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
引用:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成18年12月6日障発第1206001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)【新旧対照表】

④従業者に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施すること

虐待防止のための研修については以下の通りです。


  • 定期的(年1回以上)な研修の実施
  • 新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが重要
  • 研修の実施内容についての記録
  • 事業所内で行う職員研修でOK

しょーなり
しょーなり

※他の研修と一体的に実施する場合や他の研修プログラムにおいて身体拘束等の適正化について取り扱う場合(虐待防止に関する研修において身体拘束等の適正化について取り扱う場合等)は、身体拘束等の適正化のための研修を実施しているものとしてOKです。

まとめ

虐待防止措置未実施減算・身体拘束適正化未実施減算について国の資料をまとめてみました。

障害者虐待防止法が施行されて以降、障害者福祉施設等における障害者虐待の数値は右肩上がりで上昇しています。

必要とされる取り組みを理解して実践することで、虐待の発生を防ぐとともに減算も防ぎましょう。

障害者虐待防止法は⇩こちらで解説しています。合わせてご覧ください。

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