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「障害者虐待防止法」をわかりやすく解説 障害者虐待の現状を理解して、安心して暮らせる社会へ 障害者虐待のデータもご紹介

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制度
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平成24年10月「障害者の虐待防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下障害者虐待防止法)が施行されました。

障害がある方の虐待を防止するために施行された法律ですが、法律ができてから数年たった今、虐待は無くなるどころか増加している部分もあります。

この記事で改めて法律の内容と、2021年10月時点で公表されている障害者虐待のデータを知っていただき、虐待のない社会に近づいていけたら幸いです。

この記事の内容

・障害者虐待防止法の内容

・障害者虐待の現状

「令和3年度障害者福祉施設従事者等による障害者虐待」対応状況調査データを↓こちらで解説してます。合わせてご覧ください。

1.虐待防止法の目的

 障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、障害者に対する虐待の禁止、国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、養護者に対する支援のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

引用:障害者の虐待防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律

2.障害者虐待

この法律で障害者虐待とは下記の3つを指します

   【養護者】による障害者虐待

    養護者=障害がある方を現に擁護する方。保護者など

   【障害者福祉施設従事者等】による障害者虐待

    障害者福祉施設従事者=福祉サービスのスタッフ等

   【使用者による障害者虐待

    使用者=障害がある方を雇用している事業主等

3.虐待の類型

この法律で定められている虐待の類型は以下の5つです。

身体的虐待(暴力で痛みを与える、必要性なく身体の動きを抑制する、過剰な投薬をする等)

放棄・放置(食事や排せつなど必要な支援を行わず生活環境や身体状況を悪化させる等)

心理的虐待(侮辱、無視など精神的な苦痛を与える等)

性的虐待(本人が同意していない性的な行為やその強要等)

経済的虐待(本人の同意なしに財産等金銭の搾取したり、必要性なく本人が使う金銭の制限を行う等)

4.障害者虐待防止法で定めていること

法律の中で定めている内容から代表的なものをピックアップしてご紹介させていただきます。

a.虐待の禁止

「何人も、障害者に対して、虐待をしてはならない」と明記されています

b.国や地方公共団体がすべきこと

・障害者虐待の予防及び早期発見その他の障害者虐待の防止に向けた取り組み

・障害者虐待を受けた障害者の保護する

・適切な養護者に対する支援を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化

・民間団体の支援その他必要な体制の整備

c.国民がすべきこと

・障害者虐待の防止について、養護者に対する支援等の重要性に理解を深める

・国や市町村が行う虐待防止のための取り組みに協力する

d.「障害者福祉施設設置者」と「障害者を雇用する事業主」がすべきこと

研修を行ったり、苦情の受付等の体制を整えるなど障害者虐待を防止する取り組みを行う

e.学校や保育所等、医療機関がすべきこと

・先生や生徒に障害理解を深める取り組みを行う

・就学する障害者が相談できる体制を整える

f.市町村障害者虐待防止センターの設置

障害者虐待の防止する取り組みを行う障害者虐待防止センターを設置する(委託も可)

g.都道府県障害者権利擁護センターの設置

市町村と連携し、障害者虐待を防止する取り組みを行う都道府県障害者権利養護センターを設置する(委託も可)

POINT

特に大事な部分として下記があります。

障害者虐待の早期発見

 障害がある方と関わる機会が多い方は、障害者虐待の早期発見に努める

通報の義務

 障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、通報しなければならない

しょーなり
しょーなり

虐待を「受けたと思われる」障害者を発見した場合なので、通報する時は虐待と確定していなくてOKです。

虐待じゃないか?と思った段階で通報することが義務付けられています。

通報については↓こちらで詳しく解説しています。是非ご覧ください。

5.障害者虐待の現状

毎年厚労省では障害者虐待の状況調査を行い、厚労省のHPで公開しております。

2021年10月の現在では令和元年度までのデータしか出ておりませんので、出ているデータをご紹介させていただきます。

a.養護者による障害者虐待データ

出典:厚生労働省HP 令和元年度都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)について公表します

上記は平成24年から令和元年までの養護者による障害者虐待の数をグラフにしたものです。

図を見ると、平成25年から平成29年まで多少の増減はありつつ、ほぼ横ばいですが、平成30年度から相談通報件数や虐待判断件数等が上昇しています。

出典:厚生労働省HP 令和元年度都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)について公表します

上記は令和元年度の養護者による障害者虐待の対応状況を調査したものです。

5,758件の通報があり、そのうち1,655件が虐待と判断されています。

虐待の類型としては身体的虐待が最も多く、虐待者(虐待をしてしまった方)の続柄は両親が約半分を占めています。

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市区町村が判断した虐待の発生要因や状況を見ると

半分近くは「虐待者が虐待と認識していない」状況だとわかります。

どういったことが虐待に当たるのかについて理解が乏しいことが、虐待の要因になってしまっています。

b.障害者福祉施設従事者等による障害者虐待データ

障害福祉施設従事者等による障害者虐待において、相談・通報件数はほぼ右肩上がりに上がっています。

実際に虐待と判断された件数と虐待を受けた方の人数も右肩上がりでしたが、令和元年度に初めて減少しています。

出典:厚生労働省HP 令和元年度都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)について公表します

上記は令和元年度の障害者施設従事者等による障害者虐待の対応状況を調査したものです。

虐待者(虐待をしてしまった方)は直接支援している事が多い生活支援員という職種が最も多くなっています。

被虐待者(虐待された方)の障害種別を見ると知的障害がダントツになっており、やはり自分の意志を表現しにくい方が虐待を受けやすい傾向にあることが見て取れるかと思います。

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市区町村が判断した虐待の発生要因や状況を見ると

・教育、知識、介助技術等に関する問題

・職員のストレスや感情コントロールの問題

・倫理観や理念の欠如

上記3点が高くなっています。

それらの要因をきちんと認識して、対策を取ることが求められています。

特に私達支援者はプロとして支援のスキルの向上は必須です。

福祉事業所における障害者虐待の要因と対策については↓こちらをご覧ください。

c.使用者による障害者虐待データ

使用者による障害者虐待データは労働局から情報が上がってくることもあり、上記とは違うまとめ方になっています。

出典:厚労省HP 「令和元年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します

通報・届け出があった事業所数は平成30年度に比べ令和元年度は減少しています。

虐待が認められた事業所数は少しだけですが減少傾向となっています。

労働局などへの相談の割合は年々増えており、雇用される側の理解も進んできていると考えられると思います。

出典:厚労省HP 「令和元年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します

虐待が認められた障害者数のデータです。

障害種別で見ると、これまでのデータ同様知的障害がある方の割合が一番高くなっています。

知的に障害がある方は自分の意志を示しにくい、理解することが難しい等虐待を受けやすい傾向にあります。

虐待の種類としては、仕事ということもあり経済的虐待が最も多く8割以上となっています

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虐待を行った使用者の内訳を見ると、事業主が約9割となっています。(その他は所属の上司等。)

定められている最低賃金以下で働かせていたりなど、雇用の形態を決めることが出来る事業主の立場での虐待が多くなっています。

まとめ

障害者虐待防止法の内容と、最近の障害者虐待のデータ等をご紹介させていただきました。

障害者虐待の最新の状況を理解したい方は↓こちらをご覧ください。データの比較分析もご覧いただけます。

法律ができたからといってすぐに虐待がなくなるわけではありません。

①障害者に対する虐待があるという現状を知り

②虐待をなくすためにある法律を知り

③法律に沿って取り組みを進める

というように順番に歩みを進めていくしかありません。

どんな人でも安心して暮らせる社会を目指すことは、自分自身の安心した暮らしに繋がります。

まずは知っていくことから一歩一歩進んでいきましょう。

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