児童発達支援管理責任者になったけど・・・
具体的に何をしたらいいかわからない
研修を受講したけど、やることが多すぎる
そんな不安はありませんか?
児童発達支援管理責任者(以下:児発管)は事業所の中で行う支援を管理する立場です。
児発管になってやるべきことは山のようにありますが、初心者の皆様にこれだけはやってほしい、支援をする上で大切なポイントを4つに絞ってご紹介します。
これらについて1つずつ解説していきます。
1.手順に沿った児童発達支援計画の作成と振り返り
最初に説明するのは児童発達支援計画です。
児発管=児童発達支援計画と言っていいくらい代表的な業務と言えます。
この児童発達支援支援計画には子どもへの支援の様々なものが詰まっています。
計画の作成と振り返りは多くの押さえるべきことがありますが、大切なポイントを4つに絞ってご紹介します。
(1)手順を守る
上記の図にある手順をしっかりと踏んで作成と振り返りをすることが大切です。
相談員の作る障害児支援利用計画を確認し、アセスメントをして、会議を行い計画を作成する。
作成した計画に沿って支援を行い、定期的にモニタリングをして計画の修正を行う。
手順を踏んで作成することは実地指導対策としても重要です。計画作成の手順は細かく見られますので、きちんと記録もとっておくようにしてください。
(2)アセスメントをしっかりと
計画を作るうえで、アセスメントは最も重要なものの1つです。
子どものことを知らずに、子どもを支援する計画は作れません。
いろいろな情報があって初めてその子どもを支援する方向性が見えてきます。
子どもや家庭のことを理解せずに作る計画は、子どもの生活を余計に困難にしてしまうこともあります。
アセスメントを必ずとって子どもに合った支援につなげましょう。
また、ニーズについても話をして出てきた言葉がそのままニーズであるとは限りません、ニーズについてはこちら↓で解説していますので是非ご覧ください。
(3)子どもの状態と保護者の意見のギャップ
子どもの支援をしていてありがちなのは、子どもの状態と保護者の意見にギャップがあることです。
保護者は子どもに対して「こうなってほしい」「これができるようになってほしい」と思います。それは親が子どもに抱く当たり前の期待であり希望です。
しかし障害がある子どもが保護者の希望に沿った行動や成長を求められたときに苦しくなってしまうこともあります。
例えば、みんなと一緒に遊べるようになってほしいという保護者の希望に対して、友達と遊ぶルールを理解できていない子どもの場合は、いきなり集団に入れられて自分のやりたいことができずに不安定になってしまうかもしれません。
だからこそ支援者が、保護者とは違った視点で子どもの状態を見て、状態を保護者に伝えて子どもを支援する方向性を一緒に考えることが必要です。
先程の例えで言うと、「いきなりみんなと遊ぶと子どもが不安になってしまうので、まずはスタッフと1対1で視覚的な支援も入れながら遊びのルールを学び、遊ぶ友達を少しづつ増やしていく」といったことを保護者に提案しながら一緒に考えていきます。
子どもの支援の方向性は誰も正解がわかりません。
課題と思われる行動について、支援した結果行動がすぐに変化するということはありますが、そういったこともあくまでその場での改善であり、その支援が将来的に子どもにとって良かったかどうかはわからないものです。
正解がわからないから、立場の違う保護者と支援者が一緒に子どもの将来について考えて方向性を決めていくことが大切です。
(4)「誰のため」の計画なのかを理解する
支援計画を作成していると、いつの間にか支援者目線で計画を作ってしまうことがあります。
支援者が子どもに「〇〇が出来るようになってほしい」「成長のためには〇〇が必要だ」という考えを持つことは大切ですが、その考えにとらわれて子どもや保護者の意見をないがしろにしてしまうことはあってはなりません。
また、作成した計画は子どもや保護者が理解できるものである必要があります。
子どもや保護者が前を向いて一緒に目標に向かって歩いていけるように、わかりやすい書き方と説明を心掛けましょう
子ども用にわかりやすく絵や写真などを入れた別の用紙を作って説明するのもいいかもしれません。
2.家族を支える
先程の個別支援計画のところでも保護者について多く触れましたが、子どもについて考えることは家族について考えることと同じと言っても過言ではないと思います。
多くの時間を過ごす家庭が子どもにとってどういった環境であるかは、子どもの成長に大きく影響します。
保護者は常に迷いながら子育てをしています。親として初心者であるのに、生まれた子どもが障害を持っていた時の不安感や絶望感はそうでない立場の方からは想像しきれないものだと思います。
だから保護者に寄り添って、一緒に考える立場が必要です。それが支援者の役割です。
また、子どもは家庭で育ちますが、家庭の在り方は社会の影響を受けます。
例えば、インターネットの普及に伴って子育てや障害についての情報は得やすくなっていますが、その分情報の整理や取捨選択が難しくなっていることなどもあります。
家族を支援する際には、変化している社会の状況も理解することが大切です。
3.子どもの権利を守る
支援者は子どもの権利を守る立場です。
社会的に弱い立場である子どもであり、さらにコミュニケーション等に難しさがある子どもの権利は、簡単に侵害されてしまう恐れがあります。
実際に子どもの虐待について「令和2年度児童相談所での児童虐待相談対応件数」を見てみると20万件を超えて過去最多となっています。
さらに障害児支援事業所での虐待が報道されることも珍しいことではなくなってしまっています。
私たちは子どもの権利を守る立場であるということを理解し
そして事業所の中でも子どもの権利を守るために、虐待防止のための取り組みを行うことが必要です。
虐待防止の取り組みについては、厚労省から手引きが示されています。
是非こちら↓をご覧ください。
4.関係機関との連携
子どもを取り囲む関係機関はたくさんあります。
幼稚園や保育園、学校、病院、障害福祉関係課、母子保健関係課、児童相談所、相談支援事業所、地域の保健師などなど・・・
さらに子どもの成長に伴って関係機関は変化します。(幼稚園から小学校、小学校から中学校というように)
多くの関係機関と連携することは簡単なことではありませんが、子どもと接する関係機関がネットワークを構築し、子どもの支援の方向性について検討することで間違いなくより良い支援につながります。
それに加え、子どもが障害福祉事業所だけでなく幼稚園や学校で安心して過ごせるようになるためにも関係機関の連携は必要です。
また、関係機関との連携は他業種だけでなく同じ障害児支援事業所間でも重要です。
日々の支援に追われてしまうとなかなか、他事業所と意見交換をしたり交流する機会を取ることが難しいこともありますが、自分たちの支援を見つめなおしたり新たな刺激を得るために事業所間での交流は欠かせません。
他事業所と連携することは、自分たちの事業所の支援の質を向上させる有効な方法です。
初心者の児発管であれば、身近な地域で先輩の児発管が見つけられたらとても良いと思います。何かあったときに相談したり、刺激を受けたり出来る先輩の児発管はとても貴重です。
関係機関との連携(縦横連携)について詳しく知りたい方はこちら↓をご覧ください。
まとめ
児発管になりたての方に向けて、4つのポイントをお伝えさせていただきました。
今回はポイントを絞って説明させていただきましたが、実際は児発管の業務は多岐にわたっています。
身体拘束廃止・感染予防・非常災害対策・自己評価の実施・インクルージョンの推進・苦情対応etc…
それらの中にも減算につながるものもあるので、注意が必要です。
本当はそれらもすべてご説明させていただきたい所ですが、まず最初に支援するにあたって大切なことに絞って説明させていただきました。
児発管は大変な仕事ですが、子どもの成長をサポートし、見守れる魅力的な仕事です。
是非その魅力を感じていただけたら幸いです。
児童発達支援は厚労省からガイドラインも示されています。詳しく知りたい方はこちら↓をご覧ください。